【社説】WBC優勝 野球の醍醐味世界に伝えた

優勝を決め、記念撮影に納まる日本代表=21日、米フロリダ州マイアミ(時事)

野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本が14年ぶり3回目の優勝を飾った。劇的サヨナラ勝ちを収めたメキシコとの準決勝、世界のトップ選手との対決を実現した米国との決勝戦など、野球の醍醐味を世界に伝えた。

 世界トップレベルの実力

メキシコとの準決勝では、今大会不振が続き5番に打順を下げていた村上宗隆内野手(ヤクルト)がサヨナラの2点二塁打を放った。セ・リーグ三冠王の面目を示すことができた。

米国との決勝戦、日本は7投手を繰り出す総力戦となった。3-2と米国に1点差に詰め寄られた九回、大谷翔平選手が抑えのピッチャーとしてマウンドに立った。そして2死走者なしの場面で打席に立ったのは、米大リーグの「現役最強打者」で大谷選手のチームメイトでもあるマイク・トラウト選手だった。

スポーツは筋書きのないドラマと言われるが、このような場面を誰が想像しただろう。大谷選手は160㌔を超える剛速球や変化球で真っ向から勝負。そして見事、トラウト選手を空振り三振に討ち取り、ファンの興奮は頂点に達した。球界のトップに立つ選手が1対1で堂々と対決し、死力を振り絞る姿に多くの観客が酔いしれた。決勝戦後、米国のデローサ監督も「今夜の勝者は野球ファンだ」と語った。ファンたちは勝敗を超えた満足感を覚えたに違いない。

「侍ジャパン」の勝利はチーム一丸となっての勝利であり、チームとしてのまとまりが日本の強さの秘密である。しかし今大会はそれに加え、大谷選手や村上選手、佐々木朗希投手(ロッテ)や決勝戦で米国の強力打線を2点に抑えた投手陣など、その力が世界トップレベルであることが証明された。

二刀流の大活躍で最優秀選手(MVP)に輝いた大谷選手は、決勝戦前の円陣で「憧れるのをやめましょう。憧れてしまっては超えられない。僕らは超えるために、トップになるために来た。憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう」と語った。

日本選手たちは大リーグに憧れ強くなったが、頂点を目指すためにはその憧れをも捨てようという言葉は、世界の頂点で戦ってきた大谷選手だから言える意味深長な言葉だ。野球やスポーツに限らず、世界のトップを目指す日本人にも贈りたい。侍ジャパンの優勝は、世界を目指す若い日本人にも大きな刺激となるに違いない。

1次リーグのチェコ戦で登板した佐々木投手が死球を当てた選手にお菓子を贈って謝罪したことが伝えられた。野球の良さを世界に広めたいという野球愛から出た気遣いだろう。

 野球のワールドカップに

2006年に第1回が開かれたWBCだが、今大会は本選出場枠が20チームに拡大され、日本も対戦したチェコや英国、ニカラグアなどが初出場した。野球のルーツとも言われるクリケットの人気が高い英国が初参加したのを見ても、野球は確実にグローバル化していると言えよう。WBCが名実共に野球のワールドカップとなるため、関係者の地道な努力が期待される。

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