【社説】日独首脳会談 経済安保で協力強化進めよ

共同記者会見を終え、握手する岸田文雄首相(右) とドイツのショルツ首相=18日午後、首相官邸

岸田文雄首相は、来日したドイツのショルツ首相と会談し、財務や外務、防衛など6閣僚ずつを交えた「日独政府間協議」も初めて行われた。

ロシアのウクライナ侵略を巡って厳しいロシア制裁と強力なウクライナ支援の継続の重要性を確認。半導体など先端技術の供給網強化を含む経済安全保障での連携も申し合わせた。

 初の政府間協議も開催

両首脳は会談で「ロシアによる核の威嚇(いかく)は断じて受け入れられず、使用はあってはならない」との認識を共有。中国の海洋進出を念頭に置いた「自由で開かれたインド太平洋」実現へ協力することで一致した。中露両国の脅威への対応で、日本と欧州の盟主であるドイツが連携を深めた意義は大きい。

政府間協議はドイツが戦略的に重視する国々とさまざまな課題を議論する枠組みで、既にフランスや中国、インドなどと行っている。初開催となった日独政府間協議では、鉱物資源や電池などの分野でも供給網を強化することで合意。中国への名指しを避けつつ、経済的な威圧や国家主導の不正な技術獲得に対抗することで一致し、途上国への不公正な開発金融に対する懸念を共有した。

ドイツはメルケル前政権時に中国と蜜月関係を築いた。経済重視で中国の人権侵害に戦略的沈黙を続けた結果、中国は安保・経済でドイツや欧州を脅かすまでに成長したと指摘する専門家もいる。

2021年12月に就任したショルツ氏は、中国偏重のアジア政策の修正を掲げ、日本や韓国、オーストラリアなど民主主義国との関係を重視。アジアの初外遊先に日本を選んだ。軍事面でもインド太平洋への関与を強め、昨年8月には初めて空軍が豪州で行われた計17カ国の合同軍事演習に参加するなど、中国を牽制(けんせい)する構えを示している。

一方、昨年11月の訪中では、習近平国家主席との会談で米主導の半導体輸出規制など経済・貿易分野で進める中国との「デカップリング(分断)」に改めて反対を表明するなど、中国の立場に寄り添う姿勢を示した。政治面で緊張しても経済交流は活発に行う「政冷経熱」を成立させる狙いのようだ。しかし、中国に取り込まれることが懸念される。

ショルツ氏は今回、岸田首相との共同記者会見で、レアアース(希土類)などの重要な資源や貿易で中国に依存していることを念頭に「重要な分野で特定の国への依存が高過ぎると問題が起きることを自覚した」と述べた。中国によって民主主義国の連携にくさびを打ち込まれないよう、日本はドイツと防衛や経済安保などの分野での協力強化を進める必要がある。

 国連改革でも連携深めよ

日独両国は国連改革を巡って、インド、ブラジルとつくる「G4」の枠組みで共闘してきた。国連安全保障理事会は現在、中露両国の拒否権乱用によってウクライナ危機や北朝鮮の弾道ミサイル発射などに対応できず、機能不全に陥っている。

日本は今年から2年間の任期で安保理非常任理事国となった。国連改革に向けてもドイツとの連携を深めていくべきだ。

spot_img
Google Translate »