【社説】国連安保理 分断招く中露は許されぬ

ウクライナとロシアの紛争に関する国連安保理会議で演説する米国国務長官アントニー ブリンケン センター。ピーター・フォーリー(UPI)

国連安全保障理事会が、ロシアによるウクライナ侵略開始1年に合わせて閣僚級会合を開催した。日米欧をはじめ多くが改めてロシアを非難したが、中国など一部は批判を控え、理事国間の温度差が露呈した。

「侵攻は明白な国連憲章違反」(グテレス事務総長)である。しかし「国際の平和及び安全の維持に関する主要な責任」(国連憲章24条)を負う安保理は、機能不全に陥り、その役割を果たせずにいる。

日米は「戦争犯罪」非難

会合では、林芳正外相が「市民に対する無差別攻撃は国際人道法違反であり、戦争犯罪を構成するものだ」と非難。ブリンケン米国務長官は「われわれは団結してロシアの犯罪を暴き続ける」と述べた。

一方、ロシアのネベンジャ国連大使は「(西側諸国が)国連の中で反露を率先してつくり上げようとしている」と強調。中国も西側諸国を念頭に「他国に内政干渉している」と語った。

常任理事国のロシアが侵略を正当化し、同じ常任理事国の中国がロシアを擁護することで、安保理の分断を招いていることは許し難い。侵略開始直後の昨年2月末にも、侵略を非難し、即時撤退を求める米国主導の決議案が、ロシアの拒否権行使によって否決されている。この時も中国は棄権という形でロシアに同調した。

安保理決議に違反する北朝鮮の弾道ミサイル発射を巡っても、安保理で日米などは全理事国が一致して非難の声を上げる必要性を訴えたが、中露は北朝鮮擁護の姿勢を維持し、議論は平行線のまま終わった。北朝鮮は今月、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾させた。このミサイルは米本土を射程に収めるとされ、北朝鮮の脅威は高まっている。

北朝鮮は昨年、ICBMを含む弾道ミサイルを約70発発射した。だが安保理では5月、北朝鮮への制裁を強化する米国主導の決議案が、中露の拒否権行使で否決された。中露を「後ろ盾」として、北朝鮮が核・ミサイル開発を進めている形だ。決議違反の挑発行為に対処できない安保理の現状は、目を覆うばかりである。

国際平和の維持を使命とする国連は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値に基づいて行動すべきである。しかしウクライナ侵略を続けるロシアはプーチン政権が強権体制を維持し、台湾統一に向けて武力行使を放棄しないとする中国は共産党一党独裁体制の国だ。中露両国に、国連主要機関の中で最も大きな権限を持つ安保理の常任理事国の資格がないことは明白である。

粘り強く改革機運高めよ

日本は今年から2年間の任期で安保理の非常任理事国となった。安保理改革の機運を高めていくことが求められる。

もっとも常任理事国メンバーや拒否権を規定する国連憲章の改正には、常任理事国5カ国を含む国連加盟国の3分の2の批准が必要だ。改革は決して簡単ではないが、安保理の機能不全をこれ以上放置することはできない。粘り強く改革への支持を広げていくべきだ。

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