【社説】離島防衛訓練 国内実施増やし侵攻に備えよ

陸自・米海兵隊による共同訓練「アイアン・フィスト23」で海兵隊員を乗せ飛来するMV-22オスプレイ =18日午後、大分県の日出生台演習場

陸上自衛隊は米海兵隊と離島防衛を想定した共同訓練「アイアン・フィスト」を行っている。この訓練はこれまで米国内で実施されており、国内では今回が初めて。今後は国内での実施を増やし、中国による離島侵攻に備える必要がある。

 日米「海兵隊」が参加

国内で行うのは、東シナ海などで活発化する中国の軍事的活動を念頭に、日米の結束を示すのが狙い。懸念される台湾有事に備え、南西諸島周辺の離島防衛作戦の機動力を高めるとともに「自由で開かれたインド太平洋」の実現につなげるべきだ。

今回は、上陸作戦の専門部隊である陸自の水陸機動団や沖縄県内に拠点を置く海兵隊第31海兵機動展開隊が九州・沖縄で実施。日米合わせて約1700人が参加する。

装備品は日本側から陸自のCH47輸送ヘリコプター4機、離島作戦の主要装備品として導入された水陸両用車AAV7と偵察用ボート各10隻、海自の輸送艦1隻とホーバークラフト型揚陸艇(LCAC)2隻、海兵隊からはCH53E大型輸送ヘリや輸送機MV22オスプレイ、UH1多用途ヘリが参加する。

日米両政府は1月、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、沖縄などで日米の施設の共同使用を拡大し、共同演習や訓練を増やすことを確認している。海に囲まれた日本には、大小6800以上の島々が点在しており、中国の脅威が高まる中、離島防衛能力の強化が急務だ。

アイアン・フィストは海兵隊の実動訓練であるため、上陸作戦が主な演習内容となっている。日本としては、水陸両用作戦能力を向上させる上で極めて重要な演習だ。

水陸機動団は2018年3月、相浦駐屯地(長崎県佐世保市)を拠点に編成された。中国による離島侵攻を想定し、AAV7を海自輸送艦で運び、離島に上陸、奪回する任務を担う「日本版海兵隊」である。こうした任務を果たすには、海兵隊との共同訓練を重ねる必要がある。

中国の習近平国家主席は、台湾統一に向けて武力行使を放棄しないとの方針を示している。米国では今年1月、空軍航空機動軍団司令官のマイク・ミニハン大将が内部メモで、25年までに中国が台湾に侵攻し、米中戦争が起こり得ると警告したと報じられた。2月には中央情報局(CIA)のバーンズ長官が、習氏が人民解放軍に対し、27年までに台湾侵攻の準備を整えるよう指示したことを「情報として知っている」と主張するなど情勢は緊迫している。

 抑止効果を向上させよ

台湾有事は日本有事だ。沖縄県・尖閣諸島の領有権を一方的に主張する中国は、尖閣を台湾の一部としている。中国が台湾に侵攻すれば、尖閣も占拠されるとの見方が強まっている。

南西諸島では尖閣以外の島々も占領される恐れがある。中国が昨年8月、ペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問に強く反発し、台湾周辺で軍事演習を行った際、中国の弾道ミサイルが沖縄県・与那国島から約80㌔の地点に落下したことは記憶に新しい。日米は訓練を重ねて抑止効果を向上させるべきだ。

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