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【社説】建国記念の日 求められる国体論の深まり

きょうは建国記念の日。初代神武天皇が大和の橿原宮で即位したとされる日であり、かつては紀元節と呼ばれた。今年で2683年となる皇紀の始まりでもある。

政治超えた権威を保持

神武天皇の即位以来、わが国は今日に至るまで、権力者や政体の変化はあっても、中心に天皇と皇室を戴(いただ)く国のかたちを守ってきた。世界史上これまで幾多の王朝が誕生し栄華を誇ってきたが、今日まで続く王朝は多くない。そういう中で世界最古の王朝としてわが国皇室は存続してきた。そのことの意味と価値を改めて認識すべきである。

もちろん古いからそれをただ無邪気に誇ればいいということではない。連綿と続くには理由があった。わが国の天皇は戦後の日本国憲法で規定される以前から、国民統合の象徴として存在してきた。天皇を中心とする国のかたちすなわち「国体」が、これまで国家の統一と安定、さらに発展の基礎にあったことは言うまでもない。

皇室が長く存続し得たのは、政治を超えた権威を保持してきたことが第一にある。天皇が直接政権を担った時代もあったが、天皇親政は稀(まれ)だった。しかし政治的権力を失っても、権威は揺るがなかった。その権威を支えるのは、神武天皇以来、天皇が行ってきた祭祀(さいし)であり、さらには万世一系の皇統であったことは明らかである。

皇位の安定継承は依然、解決すべき課題としてある。2021年暮れに、政府の有識者会議が「歴代の皇位は例外なく男系で継承されてきた」ことを確認するとともに、皇族減少への対策の一つとして、旧宮家の男系男子の皇族との養子縁組などの案を提出している。

政府は直面するさまざまな懸案事項に迅速に対処していく必要があるが、皇位の安定継承は国の在り方の根幹に関わるものであり、将来への備えを急がなければならない重要課題だ。そのための取り組みを着実に進める必要がある。

皇室が存続するためには、それを望む国民の存在がなければならない。古い歴史を持つ王室であっても、国民の支持を失って滅びた例は数知れない。

わが国皇室が国民の支持を受けてきたのは「国民と苦楽を共にする」という歴代天皇から昭和、平成、そして今上陛下に続く伝統があるためである。この天皇と国民の関係こそ、日本の国体を形づくる最も重要な要素の一つである。

神武創業が国体の出発点であるが、近年はその始まりを準備した有史以前の文化にも関心が高まっている。日本の基層文化を形成した縄文文化は、世界最古とも言われる土器を使用し、1万年以上も続いた。狩猟採集の文化レベルの低い時代と見なされてきたが、近年の考古学の発掘調査などによって、その豊かな経済社会や精神世界が明らかにされつつある。

発展もたらした基層文化

大陸・半島渡来の稲作農耕文化を受け入れ、独自の発展と国造りができたのも、縄文以来の基礎があったからであった。わが国の国体も、縄文的な基層文化にまでさかのぼって論じる機運が生まれつつある。

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