トップオピニオン社説【社説】強盗グループ これ以上の治安悪化を許すな

【社説】強盗グループ これ以上の治安悪化を許すな

関東の1都5県で昨年12月から今月にかけて、3人組の男が被害者を縛るなど手口の似た強盗や窃盗事件が相次いでいる。

東京都狛江市の自宅で90歳女性が手を縛られ、殺害された強盗殺人事件も、複数人の犯行とみられている。相次ぐ事件との関連を調べ、強盗グループの全てのメンバーを一刻も早く摘発することが求められる。

手口類似の事件相次ぐ

事件は東京、神奈川、千葉、栃木、埼玉、茨城の各都県で発生。複数人が凶器で脅し、手足を縛るなど手口の多くが類似していた。同様の事件は西日本でも発生している。警察は全国の少なくとも25件の事件に何らかのつながりがあるとみて捜査しているという。

狛江市の事件では、女性は両手首を縛られ、頭から出血していた。全身を強く殴られたという。家族の外出後、家に1人でいたところを襲われたようだ。

容疑者らはインターホンを鳴らして女性を呼び出したとみられており、家の中は広範囲に物色されていた。これ以上の治安悪化を許すわけにはいかない。警察は取り締まりを強化し、強盗グループの全メンバーを検挙することが急務である。

この事件を巡っては、千葉県で今月起きた別の強盗事件で逮捕された自衛官の男の携帯電話から、女性宅の住所と「強盗に入る」との趣旨の記載が発見された。昨年12月に東京都中野区で現金約3000万円が奪われた強盗傷害事件で逮捕された男の携帯電話にも、狛江市の事件に絡む情報が残されていた。

一方、昨年12月に東京都渋谷区の貴金属店で起きた窃盗事件で逮捕された19歳の男3人は「金に困り闇サイトで応募した」などと話している。相次ぐ強盗事件で逮捕された複数の容疑者は「ルフィ」と名乗る人物から指示を受けていたという。指示には、追跡が困難とされる通信アプリ「テレグラム」などが使われた。実行役は互いに面識はなかったようだ。

強盗グループは募集した実行役を入れ替えながら、活動を繰り返していたとみていい。これは特殊詐欺と同様の構図だ。対策が進んだため、詐欺から強盗に手口を変えているのだとすれば深刻である。

特殊詐欺グループの上層部には暴力団などの反社会的勢力が存在している。全国各地の強盗事件が暴力団の資金集めのために起きたのであれば言語道断である。

ただ指示役が逮捕されない限り、新たな実行役が集められ、こうした犯罪が繰り返される恐れがある。また、電話番号や住所が掲載されている名簿が犯罪グループに流出している実態もある。一刻も早い全容解明と共に一人一人が自衛策を講じることも求められる。

各家庭で対策進めたい

強盗グループは、これまで治安の良かった場所を狙っているとされる。

各家庭で防犯カメラ設置や、窓ガラスを割れにくくするフィルム、サッシの内側に取り付けて二重にロックする補助的な鍵、大きな音を出す警報装置の活用など防犯対策を進める必要がある。また、地域の絆を強めて犯罪抑止につなげたい。

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