【社説】日米安保協議委 反撃能力運用へ具体化を急げ

日米安全保障協議委員会(2プラス2)が開かれ、有事に敵のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力行使の共同計画策定へ協議を加速するなどの「共同発表」をまとめた。

ロシアによるウクライナ軍事侵攻の動きの中で、中国による「台湾有事」の事態が懸念され、わが国の尖閣諸島を領有しようとする中国の意思も明白だ。早期に反撃能力を保有し運用すべきである。

国際秩序の改変狙う中国

わが国が弾道ミサイルで攻撃される事態に備え、未然に敵のミサイル発射拠点を攻撃する反撃能力の保有は安保関連3文書に明記され、外務・防衛担当閣僚による2プラス2は自衛隊が反撃する際に米軍と連携する運用面の具体化に着手することを確認した。

反撃能力として敵ミサイルの射程圏外から敵の発射拠点をたたくことができるスタンド・オフ・ミサイルの配備が急務だ。候補として米軍の巡航ミサイル「トマホーク」や陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾の射程を伸ばす改良型が見込まれている。装備数は敵の攻撃力を無力化するに値する数を目指し、多様に配備すべきである。

反撃能力は北朝鮮の弾道ミサイル発射実験で本格的な議論となった経緯があり、「敵基地」攻撃能力として地上のミサイル基地をたたくイメージがある。だが、敵のミサイル発射拠点が地上だけとは限らず、潜水艦を含む海の艦艇などさまざまに想定しなければなるまい。ウクライナ軍事侵攻の例では、ロシアは黒海艦隊も動員してウクライナ南部の都市を破壊している。

また、ウクライナ軍が黒海艦隊旗艦モスクワをミサイル攻撃で撃沈し得たのは、米当局が同艦の位置情報を提供したためと米メディアが報じている。敵ミサイルの発射拠点を正確に探知するには、米国との緊密な連携が不可欠だ。

この反撃能力保有が抑止力として機能し、「自由で開かれたインド太平洋」を維持することを期待したい。その際、「中国の外交政策は自らの利益のために国際秩序を作り変えることを目指している」と共同発表文書は指摘しており、中国の脅威への対応は避けて通れない。

近年、中国はロシアとともに国連安全保障理事会常任理事国でありながら、力による現状変更をあからさまに進めるようになった。南シナ海の公海がすっぽり入る「九段線」の設定、日本固有の尖閣諸島に対する領有の一方的な主張、環礁埋め立てによる軍事拠点化や繰り返される公船の領海侵犯など強引だ。台湾には力による「統一」を辞さないとして周辺の軍事行動を強めている。

自由守る防衛努力を

防衛予算を増額して反撃能力保有のため装備調達、運用を進める実行力と覚悟が岸田政権には問われる。わが国や韓国、台湾がフロントラインに位置しているという地政学的現実から、自由と民主主義を守る防衛努力を怠ることはできない。

これは政権が一致して取り組むべき大仕事であり、増税ばかりが目的ではない。柔軟に財源の検討を行い、共同計画を着実に進めてほしい。

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