【社説】台湾情勢 日本版「関係法」の制定急げ

今年も緊迫する台湾情勢が焦点となる。「台湾有事は日本有事」であり、統一を狙う中国が台湾に侵攻すれば日本の南西諸島などへの攻撃も避けられないとの見方が強い。日本は同盟国である米国と緊密に連携して台湾を支えるべきだ。

激しさ増す米中対立

昨年は台湾を巡る米中の対立が激しさを増した。5月の日米首脳会談後の記者会見でバイデン米大統領は「台湾防衛のため軍事的に関与する意思はあるか」と問われ、「イエス。それがわれわれの責務だ」と回答。台湾防衛を明言してこなかった歴代米政権の「曖昧戦略」の転換かと注目された。

バイデン氏は同様の発言を繰り返し、そのたびにホワイトハウス高官が「米国の政策に変更はない」と説明。バイデン氏の真意は不明だが、昨年亡くなった安倍晋三元首相をはじめ米国内外の有識者が、台湾有事の際の関与を明言するよう米国に求めてきた。中国による台湾侵攻は現実味を帯びており、米国は曖昧戦略の見直しを検討する必要がある。

8月にはペロシ米下院議長が台湾を訪問。これに強く反発した中国は、台湾を取り囲む形で軍事演習を行い、周辺海域に発射した弾道ミサイル11発のうち5発が日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。まさに台湾有事が日本有事であることを見せつけたと言っていい。

中国の習近平総書記(国家主席)は3期目入りを果たした10月の共産党大会で、台湾統一に向けて「武力行使を決して放棄しない」という野蛮で身勝手な考えを改めて示した。昨年末には中国海警船が沖縄県・尖閣諸島沖の日本領海に72時間45分にわたって侵入。2012年の国有化以降で最長となった。中国は尖閣を台湾の付属島嶼としており、台湾侵攻の際には尖閣も狙われる可能性が高い。

中国の脅威にさらされる日台は関係を強化する必要がある。昨年12月には自民党の萩生田光一政調会長が台湾を訪問し、蔡英文総統と会談。台湾海峡を巡って平和と安定の重要性で一致した。自民党の世耕弘成参院幹事長も訪台し、日台与党間の外交・安全保障責任者による「外務・防衛2プラス2」を定例化することで蔡氏と一致。蔡氏は、日本が国家安全保障戦略など安保関連3文書を改定し、台湾有事も念頭に防衛力の強化を決めたことを評価した。

日本の与党幹部の訪台は結構なことだ。ただ日台関係には法的な裏付けがないため、本格的な安全保障協力は難しい。米国には台湾との安全保障関係を定めた「台湾関係法」がある。日本も同様の法整備を急がなければならない。

日米韓台の連携が重要

台湾で女性初の副総統を務めた呂秀蓮氏は、本紙の新春特別インタビューで台湾有事の際に「中国は必ず北朝鮮に日本と韓国を攻撃させるだろう」と指摘。日本、台湾、韓国の緊密な関係構築の必要性を説いた。

韓国の尹錫悦政権は昨年末、韓国版「インド太平洋戦略」を公表。この中で、台湾海峡の平和と安定が朝鮮半島にも重要だと明記した。日米韓台の連携で中国や北朝鮮を抑止すべきだ。

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