【社説】23年の日本経済 経済正常化で内需主導固めよ

東証大発会は日経平均株価が前年12月30日と比べ377円安でスタートしたが、新年の日本経済はどんな展開になるか。昨年はロシアのウクライナ侵攻により原油や小麦など原材料物資が高騰、円安と相まって値上げラッシュが続く1年であった。新年は欧米や中国で景気の減速が懸念される中、海外環境に影響されにくい内需主導の経済基盤を整えたい。

経済活動の正常化一段と

昨年2万品目を超えた食品の値上げラッシュは、新年もしばらく続きそうである。帝国データバンクによると、1月はお好み焼き粉など粉製品を中心に580品目が値上げし、年間では7000品目超になるという。

食品会社の値上げが収束しないのは、消費者離れによる売り上げ減少を警戒しながら少しずつ価格転嫁しているためで、要するに転嫁がまだ不十分なのである。

もっとも、まだ油断はできないが、値上げ品目数は昨年よりかなり少なくなりそうである。米利上げ幅の縮小、日銀の大規模緩和修正などから、昨年10月に1㌦=151円まで円安に進んだ円相場はこのところ130円台で推移。昨年3月に一時1バレル=130㌦を突破した米原油先物も最近では、80㌦前後に落ち着いてきているからである。コスト上昇は一段落したとの指摘も一部に出てきた。

23年春闘では連合が定期昇給2%と基本給を底上げするベースアップ(ベア)3%程度を合わせた「5%程度」の賃上げ目標を決定。企業側でも賃上げとは別に数万円の「インフレ手当」を出したところも少なくない。業種により濃淡はあるが、春闘ではこれまでの円安により収益が好調な企業、業種を中心にそれなりの賃上げが見込めるのではないか。

新型コロナウイルス感染に伴う行動制限が緩和され、経済活動が正常化に近づきつつあることも好材料である。政府の観光需要喚起策「全国旅行支援」も10日から再開する。

新型コロナの感染症法上の位置付けも今春を視野に、政府は現在の「2類相当」から季節性インフルエンザ並みの「5類」に見直す調整に入った。これも個人消費や企業活動にとり好材料になってこよう。

懸念は主に海外要因である。インフレ抑制へ積極的に利上げに動いた欧米で景気が減速し、「ゼロコロナ」政策を取っていた中国も経済の落ち込みが目立つ。ゼロコロナは先月に破綻し、今度は感染が爆発的に拡大しており、経済活動もしばらくは混乱が続きそうである。

心強い設備投資の旺盛さ

日本もこうした海外環境の悪影響を受けないわけにはいかず、輸出企業を中心に注意を要しよう。そんな中でも心強いのは、企業の設備投資が旺盛であることだ。22年度は日銀短観や日本政策投資銀行の調査でも、前年度比20%超の伸びが示され、今後も高い伸びが期待できそうである。

政府も電力の安定供給や脱炭素化へ原発活用を積極的に打ち出し、経済安全保障の観点から国内半導体産業の強化などに取り組む。内需主導経済の基盤を固める時である。

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