【社説】米「ねじれ議会」 懸念される「内向き」姿勢

6日、米南部ジョージア州アトランタで、上院選の勝利演説を行うラファエル・ウォーノック氏(EPA時事)

米中間選挙で連邦議会上院(定数100)の最後の1議席を決める決選投票が南部ジョージア州で行われ、与党民主党の現職が野党共和党の新人に僅差で勝利した。

これを受け、上院は民主51、共和49、下院(定数435)が共和222、民主213の議席配分が確定。上院は民主党、下院は共和党が4年ぶりに多数派を握った。「ねじれ議会」となったため、今後は与党側の予算案や法案が通りにくくなることが予想される。

共和党が下院を奪還

今回の中間選挙は、記録的インフレや政権党に不利な過去の傾向をはね返し、民主党が予想外に健闘したと言われる。しかし共和党に下院を奪還されたことは、バイデン大統領の政権運営には大きなマイナスである。バイデン氏の看板公約である富裕層や企業への増税は共和党が反対しており、実現は困難となる見通しだ。

「バイデンフレーション」とも呼ばれるインフレは続いており、共和党はバイデン氏の次男ハンター氏による外国企業との不審な取引について調査を進める方針を示している。民主党の善戦がバイデン政権の求心力向上につながるかは不透明だ。有権者は犯罪増や不法移民流入などの課題で民主党への失望も示している。

バイデン政権が今後、議会との調整に労力を費やすことで、より「内向き」になれば、ロシアに侵略されているウクライナへの十分な支援を継続できるか懸念が残る。共和党内では支援の打ち切りを主張する意見が出ているが、ロシアの侵略を容認することはできないはずだ。バイデン政権は引き続きウクライナを助けるべきであり、共和党も協力する必要がある。

中間選挙では人工妊娠中絶の問題が大きな争点の一つとなった。米連邦最高裁は6月下旬、中絶を権利として認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆した。背景にはトランプ前政権下で保守的な判事が複数任命されたことがあり、民主党は選挙戦で中絶の権利を最大の争点に打ち出した。このことが民主党の善戦につながったとみられている。

ただ最高裁判決は中絶を全面的に禁止するものではなく、中絶の是非や具体的なルールは各州が民主的なプロセスを通じて判断すべきだとしている。安易な中絶が容認されれば性の乱れにもつながりかねず、米国民の良識が問われる問題である。

今後は民主、共和両党とも2024年大統領選に向けた動きが活発になる。与野党の対立は一段と激しくなるだろう。

トランプ氏は支持拡大を

トランプ前大統領は24年大統領選への出馬を表明した。ただ共和党は中間選挙で当初の予想ほど圧勝できず、トランプ氏の支援した複数の候補も上院の接戦州などで敗れたため、責任を追及する声も上がっている。

共和党内では他の有力候補も出馬を検討しているとされ、候補者指名争いが熱を帯びつつある。トランプ氏は熱狂的な支持層を持つ一方、穏健層からの反発も根強い。大統領再選には、支持を拡大するための戦略が求められる。

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