【社説】五輪談合事件 不正の温床に捜査のメスを

。日本橋に設置された五輪マークのモニュメントの写真を撮る人々 =2020年7月27日午後、東京中央区で

東京五輪・パラリンピックのテスト大会に関する入札談合疑惑で、東京地検特捜部と公正取引委員会が、計画立案業務で受注調整したとして、広告最大手「電通」やイベント大手「セレスポ」など関係先を独禁法違反(不当な取引制限)容疑で家宅捜索した。

五輪を巡る不正は汚職事件に続き、談合事件に発展した。新型コロナウイルス禍の中、日本と世界に大きな感動を与えた五輪を不正でむしばんだことは許されない。

電通が「大会丸抱え」

電通やセレスポなどは2018年、大会組織委員会が発注した競技会場ごとの「テスト大会計画立案・計画支援業務」の競争入札で、受注調整した疑いが持たれている。テスト大会は本大会と同じ会場などを使用し、観客の動線や警備態勢、輸送体制などを確認するものだ。

 26件の入札に9社と一つの共同企業体が参加、落札した。契約総額は約5億3700万円に上ったが、中には1社だけで応札したケースもあり、談合の疑いが濃厚だと言える。

 テスト大会と本大会の運営委託は、計画業務を落札した各社が随意契約で受注した。委託費は新型コロナ対策費も含めれば300億円近くに上る。特捜部は、本大会の競技運営などを請け負うことも念頭に談合が行われた可能性があるとみている。

落札企業からは、組織委でテスト大会の運営を担当する「大会運営局」に社員が出向していた。発注側と受注側が一体となって不正が行われていたのであれば実に罪深い。特捜部などは組織委の関与も含めて不正の温床に捜査のメスを入れ、巨額の資金を巡る談合の全容を解明すべきだ。

不正の背景には、これまでスポーツ界が五輪などの大規模大会の運営やスポンサー集めを電通に頼ってきたことがある。こうした大会は、ノウハウを持つ電通が介在しないとうまくいかず、電通が一手に引き受けて丸抱えにしていたのが現状だとされている。

札幌市は30年冬季五輪・パラリンピックの招致を目指している。だがスポーツ大会の信頼回復が進まなければ、市民や国民の支持を得られず招致実現もおぼつかない。「電通頼み」の構図を変えることが急がれる。

大会スポンサー契約を巡っては、電通で専務などを歴任した組織委元理事の高橋治之被告が5社から計約2億円を受領したとして、東京地検特捜部に4回逮捕、起訴された。談合は高橋被告の汚職事件の捜査過程で発覚したものだ。

五輪は新型コロナの影響で1年延期されるなど、開催は困難を極めた。しかし選手の奮闘と関係者の献身的な協力で、無観客ではあったが、無事に成功を収めることができた。その五輪を不正のために利用したことは言語道断である。

 選手の活躍の場を汚すな

サッカーのワールドカップでは、日本が強敵ドイツに勝利して国民を勇気づけた。

五輪の選手をはじめとするスポーツ選手は、特に子供たちに夢を与える存在である。選手の活躍の場を不正で汚すことは決してあってはならない。

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