【社説】米台経済連携 地域の安定と繁栄につなげよ

米政府が台湾との経済連携強化を目指し、6月に発足させた新たな貿易協議体「21世紀の貿易に関する米台イニシアチブ」の正式交渉会合を初めて開催した。この枠組みをインド太平洋地域の安定と繁栄につなげることが求められる。

民主的価値観を反映

会合は、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席による初の対面会談の前に行われた。米通商代表部(USTR)は台湾との「生産的」な通商協議を終えたと発表した。

米台イニシアチブは貿易の円滑化やデジタル経済、サプライチェーン(供給網)での強制労働排除、法規制の原則など11分野が柱だ。これらはいずれも、インド太平洋地域の経済発展の重点でもある。会合では交渉目標やルール作りについて意見交換した。

経済・軍事両面で存在感を増す中国は、経済圏構想「一帯一路」を掲げて世界各国に資金を投下している。だが、途上国を借金漬けにする「債務のわな」で影響力を確保しているのが実態だ。

会合は、米台イニシアチブが透明性や市民参加を重視し、民主的価値観を反映する枠組みであることを披歴する機会ともなった。中国を牽制(けんせい)する効果は大きいと言えよう。

日米など14カ国が参加する経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に台湾が加入できないため、この協議体が代替の枠組みとなる。IPEFは中国への対抗を念頭に置いた米主導の構想だが、バイデン政権は「一つの中国」政策を堅持しているため、台湾の参加を認めれば中国を過度に刺激しかねないと判断したようだ。しかし、将来的には台湾の加入も避けられない課題となろう。

IPEFは経済安全保障の観点に立ち、中国への過度な依存から脱却するのが狙いで、環太平洋連携協定(TPP)など関税引き下げを盛り込む従来型の自由貿易協定(FTA)とは異なる。米国内ではTPPに対する労働組合などの反発が強いが、本来であれば米国の復帰が望ましい。

台湾も昨年9月にTPPへの加入を申請しており、発効を主導した日本は加入に向けた取り組みを強化する必要がある。台湾をTPPやIPEFに引き入れ、安倍晋三元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現につなげなければならない。

インドネシアで行われた米中首脳会談は、習氏が台湾問題を「レッドライン(譲れない一線)」と位置付けるなど平行線に終わった。今年10月に異例の3期目政権を発足させた習氏が、中国共産党大会で台湾統一に向けて「武力行使を決して放棄しない」と表明したことは到底看過できない。

日本版台湾関係法制定を

岸田文雄首相もタイで行われた習氏との日中首脳会談で、台湾海峡の「平和と安定の重要性」を改めて強調した。

台湾有事は日本有事である。日米台の経済、安全保障両面の連携強化が求められる中、台湾との関係を規定する米国の台湾関係法と同様の法律を日本も制定すべきだ。

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