【社説】北のICBM 反撃能力保有で圧力強化を

北朝鮮が平壌近郊から大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイル1発を日本海に発射した。ミサイルは北海道渡島大島の西方約200㌔の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。渡島大島付近では操業中の漁船もあった。危険な挑発は断じて容認できない。

米本土も射程に含む

ミサイルの飛行距離は約1000㌔、最高高度は6000㌔程度で、高角度のロフテッド軌道で発射されたとみられる。浜田靖一防衛相は「弾頭重量などによっては1万5000㌔を超える射程となり得るとみられ、その場合米国本土が射程に含まれる」と指摘した。北朝鮮のミサイル技術向上に十分な警戒が求められる。

今回の発射は、カンボジアで開かれた日米韓首脳会談で米国が日韓を核戦力などで防衛する「拡大抑止」の強化を再確認したことに反発したものとみていい。米国へのミサイル攻撃能力を示し、日米韓の連携にくさびを打ち込む狙いもあろう。

北朝鮮がICBMとみられるミサイルを発射するのは今回で10回目となる。3月には平壌の順安空港一帯から発射し、北海道渡島半島西方150㌔の日本海のEEZ内に落下した。

2021年1月の朝鮮労働党大会で北朝鮮は射程1万5000㌔級のICBMを開発する方針を打ち出し、金正恩総書記は開発を最重要視してきたとされる。ICBMは1発当たりの費用が数千万㌦かかると言われ、経済が停滞して国民が窮状に陥る中、ミサイルに狂奔する姿は極めて異様である。

北朝鮮の弾道ミサイル発射は国連安全保障理事会決議に違反しており、国連加盟国として許されないことだ。決議に反して発射を繰り返すのは、安保理が中露の拒否権乱用で機能不全に陥り、これまで以上の制裁を科されることはないと高をくくっているからだろう。

核・ミサイル開発で米国の注意を引く北朝鮮は、台湾侵攻を狙う中国やウクライナを侵略するロシアにとって好都合な存在とも言える。だが、安保理常任理事国の中露が北朝鮮への制裁強化に反対することはあまりにも身勝手だ。

ミサイル発射を受け、日本と米国、韓国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの6カ国は、タイ・バンコクで緊急首脳級会合を開催。6カ国による首脳級会合は初めてで、北朝鮮の完全な非核化に向けて連携を強化することで一致した。環太平洋地域の民主主義国家が北朝鮮の脅威に共同対処する姿勢を示したことは評価できる。

岸田文雄首相は会合で、北朝鮮が今後核実験を行う可能性にも触れつつ「最も強い言葉で非難するという強い意志を示したい」と呼び掛けた。日本は国際連携を主導するとともに、北朝鮮への圧力を強化するため、敵のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)を保有する必要がある。

核シェルター整備を急げ

今回は全国瞬時警報システム(Jアラート)の発動はなかったが、これまでの運用を見ても改善の余地は大きい。北朝鮮などのミサイル攻撃に備え、核シェルターの整備も急がれる。

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