【社説】自転車悪質違反 取り締まり強化で事故減らせ

自転車の交通事故が後を絶たないことを受け、警視庁が悪質な違反に対する取り締まりを強化した。

東京都内では、自転車が関係する事故件数の高止まりが続いている。積極的な取り締まりを件数の減少につなげなければならない。

積極的に赤切符を交付

重点的に取り締まるのは「信号無視」「一時不停止」「右側通行」「徐行せずに歩道通行」の4項目の違反である。これまでも危険性の高い違反を取り締まってきたが、従来以上に積極的に交通切符(赤切符)を交付するようになった。道交法は3年以内に2回、赤切符を交付された運転者に講習受講を義務付けており、従わない場合は5万円以下の罰金となる。

取り締まりが強化されることになったのは、人身事故全体が減少傾向にある中、自転車事故は高止まりしているためだ。警視庁によると、2021年の都内の交通事故は2万7598件で、5年前と比べて約4800件減少した。しかし、自転車が絡んだ事故は1万2035件と全体の43・6%を占めている。死亡・重傷事故は793件で、その78%で自転車側に交通違反があった。

自転車が加害者となる事故も増加傾向にある。昨年12月には、足立区の歩道で男子高校生の自転車が徒歩の男性(当時75歳)に衝突し、車道に転倒した男性がトラックにはねられて死亡する事故が起きた。

危険な運転に対する都民の苦情も相次いでいる。今回の措置では重大事故はもちろん、死傷者がいない場合でも、具体的な危険を伴う悪質な運転であれば赤切符を交付し、刑事事件として処理する。

事故多発の背景には、自転車が新型コロナウイルス禍における移動手段として用いられていることや、フードデリバリーの需要の高まりなどがある。自転車を利用すれば健康的で外の空気に触れることもできるが、交通ルールを守らなければ大きな事故を招きかねないことを肝に銘じる必要がある。

道交法上、自転車は軽車両に当たるので車道を走るのが原則だ。歩道を通行できるのは例外的で、車道が危険な場合や自転車の運転者が高齢者や児童である時などに限られる。歩道を走る際にも、歩行者の通行を妨げないように一時停止することなどが求められている。飲酒運転やスマートフォンを使いながらの走行が許されないのは当然である。

ただ自転車には免許がなく、交通ルールをきちんと学ぶ機会が少ない。事故を減らすには、警察庁や全国の警察がルールを周知徹底すべきだ。

さらなる車道の区分を

警視庁はこれまで、駅前や幹線道路など特に事故の危険性が高い52地区62路線を「自転車指導啓発重点地区・路線」に指定し、集中的な取り締まりや自転車レーンの優先的な整備を行ってきた。

日本ではもともと、自転車専用の道路整備が十分ではなかった面がある。事故防止に向け、車道における車と自転車の通行帯の明確な区分をさらに進める必要がある。

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