【社説】衆院10増10減 抜本改革には改憲が不可欠

10月3日、臨時国会がに召集され開会した=10月3日(UPI)

政府が「1票の格差」を是正するため、衆院小選挙区を15都県で「10増10減」する公職選挙法改正案を衆院に提出した。今国会で成立する見通しだ。

アダムズ方式を初導入

小選挙区の定数は宮城、福島、新潟、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎の10県で各1減り、東京都で5増、神奈川県で2増、埼玉、千葉、愛知各県が1増える。

このほかの10道府県では選挙区数は変えず、自治体が複数選挙区に分割されている状態の解消などのため、区割りを変更する。これで選挙区が分かれている自治体の数が約7割減少する。行政区画や地域の一体性などに配慮し、分かりやすい区割りにすることは理解できる。

政府の衆院選挙区画定審議会が2020年の国勢調査の結果に基づき区割り案をつくり、今年6月に岸田文雄首相に勧告した。区割り案策定では1票の格差を司法が求める2倍未満にすることを基本とし、今回の見直しで現行の最大2・096倍から1・999倍に縮小する。

改正案では、人口比を重視して定数を配分する「アダムズ方式」を初めて導入した。10増10減をめぐっては、地方に多くの現職議員を抱える自民党内に異論が根強かったが、アダムズ方式の適用は16年5月に自民、公明両党などの賛成多数で成立した衆院選挙制度改革関連法で定められたものだ。このことを忘れてはなるまい。

憲法14条の「法の下の平等」に基づき、1票の格差を是正するのは当然のことだ。ただ地方から都市部への人口流入が続く中、格差是正を続ければ、地方選出の議員が減って「地方の声」が届きにくくなることも予想される。

自民党では将来の選挙制度見直しの議論を始めることを条件に了承にこぎ着けた。次回の国勢調査が行われる25年を念頭に結論をまとめる方向だ。投票価値の平等を確保することは重要だが、それだけで本当に民意を反映した選挙となるのか議論する必要がある。

この問題について、自民党の森山裕選対委員長は「人口だけではなく、地域性やいろんなことを配慮しながら定数を定めることができるように、憲法改正を急ぐことが非常に大事だ」と述べた。確かに法の下の平等と矛盾しない形で抜本的な選挙制度改革を進めるには、改憲が不可欠だと言えよう。

森山氏は「地方からもしっかりと(議員を)選べるようにすることも大事なことだ」と強調した。地方選出議員の減少を防ぐことが求められる。

議論の深まりを期待

1票の格差は参院でも問題となっている。各高裁では格差が最大3・03倍だった今年7月の参院選をめぐる訴訟の判決が下されており、「違憲状態」とする高裁も出ている。

背景には、衆参両院の役割分担が不明確なことがある。米国の上院議員は人口にかかわらず各州から2人ずつ選出されるため、1票の格差は問題にならない。参院議員も同様の形で地方代表としての性格を持たせるべきだとの意見もある。改憲を念頭に置いた議論の深まりを期待したい。

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