【社説】露ミサイル攻撃 いつまで蛮行を繰り返すのか

10日、キーウ(キエフ)で、ロシアによる攻撃で道路に開いた穴の周辺を警備する警察(AFP時事)

ロシア軍のミサイル攻撃を受けたウクライナ全土で多くの死傷者が出た。無辜(むこ)の民間人を殺傷する蛮行であり、断じて容認できない。

クリミア橋爆破への報復

ロシアは2日間にわたってウクライナ全土をミサイルで攻撃した。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍の攻撃を「テロ攻撃だ」と批判。バイデン米大統領は「民間人を殺傷し、軍事目的ではない標的を破壊した」として「強く非難する」との声明を発表した。

ゼレンスキー氏との電話会談では「防空システムを含む、ウクライナが自衛のために必要な支援の提供を継続する」ことを約束した。先進7カ国(G7)はゼレンスキー氏を交え、オンラインでの緊急首脳会合を行った。G7をはじめとする西側諸国は、ロシアへの圧力とウクライナへの支援を強化すべきだ。

一方、ロシアのプーチン大統領は安全保障会議で報復攻撃を行ったと発表した。プーチン氏はロシア本土とウクライナ南部クリミア半島を結ぶクリミア橋の爆破事件を「テロ」と断定し、ウクライナの情報機関の仕業と主張していた。

しかし、その根拠は示していない。仮にウクライナが関与したとしても、報復として無差別のミサイル攻撃が許されるわけではない。民間人や民間施設への攻撃は国際法違反である。

そもそもクリミア橋は、ロシアがウクライナ当局の許可なく建設したものだ。2014年3月のクリミア併合を正当化するためのものだと言える。

クリミア併合以来、ロシアはウクライナの主権と領土の一体性を侵害し続けてきた。今年2月には侵略を開始し、今月はウクライナの東部ドネツク、ルガンスク両州と南部ザポロジエ、へルソン両州を一方的に併合した。ウクライナは旧ソ連構成国だが、現在は独立国だ。ロシアは今回のミサイル攻撃のような蛮行をいつまで繰り返すのか。

もっともクリミア橋は、併合したヘルソン州に至る補給ルートであり、爆破はロシア軍が苦戦する戦況にも影響を与えそうだ。ミサイル攻撃の背景には、プーチン氏の焦りがあるとみていい。ウクライナはへルソン州で2400平方㌔の領土を奪還したという。

戦闘が長期化する中、ロシアでは動員令で国民の国外脱出が続いている。指導部内でもプーチン氏への不満が強まっている可能性がある。

プーチン氏が侵略を強行したのは、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を阻止するためだった。だが、危機感を抱いた北欧のフィンランドとスウェーデンが長年の中立政策を転換して加盟を決断するなど、かえってNATO拡大を招く結果となっている。ウクライナ侵略は、今となってはプーチン氏の面子を保つだけの戦争となっているのではないか。

 「反撃能力」の保有急げ

日本周辺では北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返しており、ウクライナの事態を人ごととして捉えるべきではない。敵のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有や核シェルターの整備などを急ぐ必要がある。

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