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【社説】経済版2プラス2 日米は国際秩序を主導せよ

日米両政府は、外務・経済閣僚による「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)の初会合をワシントンで開いた。覇権主義的な動きを強める中国やロシアを念頭に「ルールに基づく国際経済秩序」づくりを主導すると確認。デジタル社会に不可欠な次世代半導体の量産へ共同開発を進め、サプライチェーン(供給網)強化を目指すことで一致した。

日米は経済安全保障を進めるとともに、各国が民主主義の価値観に基づいて成長できるよう支援すべきだ。

次世代半導体を共同開発

日本からは林芳正外相と萩生田光一経済産業相、米国はブリンケン国務長官とレモンド商務長官が出席。共同声明と経済安全保障の推進に向けた行動計画が発表された。

日米の直近の関心事は、スマートフォンからミサイルまであらゆる電子機器を動かす半導体の供給網の強化と多様化だ。米国は半導体の設計、日本は製造装置に強みがあるが、世界の最先端半導体生産の9割を台湾が握っているのが現状だ。中国との間で有事が起きれば供給がストップしかねない。

このため、日米で次世代半導体の共同研究・開発を急ぎ、半導体工場を分散して特定国への依存度を下げ、供給網の「脱中国依存」を図るため、安定調達できる体制を整備する。日本は東大や理化学研究所などが参画する研究開発組織の設立を発表。萩生田氏は記者会見で「国際共同研究のハブとする。科学技術立国・日本の力を結集し、日米で有志国をリードしていく」と語った。

またエネルギー安全保障をめぐっては、ロシアのウクライナ侵略で化石燃料価格が高騰していることを受け、日米は液化天然ガス(LNG)などエネルギー資源を安定的に確保する必要があることを確認した。日本はエネルギー調達先の多角化と共に国内の原発再稼働を進める必要がある。

経済版2プラス2には、中国が経済力や先端技術を武器に世界経済秩序の主導権争いで台頭する中、日米が民主主義の価値観に基づく21世紀型の国際ルール作りを進める場とする狙いがある。

共同声明では、名指しは避けたが、中国の経済圏構想「一帯一路」や輸出入規制を念頭に、経済的威圧や経済的な影響力の悪用について深刻な懸念と反対を表明した。途上国を借金漬けにする「債務のわな」に陥れることは許されない。一方、日米がインド太平洋地域などで「民主主義的価値を堅持し、経済格差を削減し、人権を保護するような開かれた持続可能かつ包摂的な経済成長を支持することを決意した」としている。

 経済面での連携強化を

日米が従来の安全保障協力を協議する外務・防衛の2プラス2だけでなく、外務・経済の2プラス2を新設したことは、もはや外交・安全保障と経済を分けて考えることができないことを示している。日米同盟の深化と役割拡大を顧みれば、遅きに失したとも言える。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、経済面での日米連携を一層強化していかねばならない。

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