【社説】コロナ「第7波」 行動制限よりワクチンだ

新型コロナウイルスの感染が再び急増し「第7波」が本格化してきた。政府は対策本部を開き、経済活動への打撃となる行動制限を避けつつ、ワクチン接種など感染対策に万全を期すことを決めた。

 新規感染者数が過去最多

国内での新たな感染者は16日に11万675人を数え、1日当たりの過去最多を更新した。青森や宮城、山梨など14県で過去最多となった。今月に入ってから各地で急増し、ピークは見通せない。重症者の数は129人(17日午後6時)と「第6波」に比べ低い水準にあるが、今後増えてくることが予想される。

感染急拡大の原因としては、ワクチンの3回目接種後の時間経過による抗体の減少、感染力の強いとされるオミクロン株の新たな派生型「BA.5」への置き換わりがあるとみられる。厚生労働省の専門家組織に報告された推計では、BA.5の感染の広がりやすさは、これまで流行した「BA.2」の1・3~1・4倍という。

政府の対策本部の会合で、岸田文雄首相は「最大限の警戒を保ちつつ、社会経済活動の回復に取り組む」と表明。また、医療体制は維持できていることから「新たな行動制限は現時点では考えていない」と述べた。

首相が対策の柱として強調したのは、ワクチン接種の促進と検査体制の強化だ。効果が曖昧で社会経済活動を阻害する行動制限より、ワクチン接種の方に力点を置くのは当然である。重症化防止のため、政府は高齢者らへの4回目接種を急ぐとともに、医療従事者や高齢者施設職員約800万人も対象に加える方針だ。

首相は「社会経済活動と感染拡大防止の両立を維持するため、世代ごとにメリハリの利いた対策を徹底する」とも語っている。3回目接種は、全人口に占める接種率が6割台前半でとどまっているが、特に20~30代が伸び悩んでいる。

政府はこの世代の3回目接種を推奨するとしている。大学などが夏休みに入るこの時期は、接種率を高めるチャンスだ。大学や自治体の取り組みを強化してほしい。

これから夏の帰省シーズンに入り接触機会が増え、若者から高齢者への感染の広がりが懸念される。政府は8月には主要な駅や空港などに100カ所以上の臨時無料検査所を整備し、帰省などで高齢者と会う場合の事前検査を呼び掛ける。

首相は今のところ行動制限を行う考えはないとしているが、これは基本的な感染対策の徹底が前提と解すべきだろう。夏場はエアコンを使うため、換気が十分でなくなる傾向がある。エアコン利用の際、時々は換気することを習慣付けたい。

 社会機能の低下を避けよ

感染者の増加は濃厚接触者の増加につながり、行動制限を余儀なくされる人が増える。それによる社会機能の低下も予測される。政府方針では、中期的な課題として濃厚接触者の特定や行動制限の在り方などについて検討する。

社会的な影響が大きい問題だけに、第7波の感染状況を検証しながら、できるだけ早い検討と見直しを求めたい。

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