【社説】G7サミット ウクライナ勝利へ全面支援を

先進7カ国首脳会議(G7サミット)で記者会見に臨むバイデン米大統領ら=6月26日、ドイツ南部エルマウ(UPI)

先進7カ国首脳会議(G7サミット)がドイツ南部エルマウで開催された。討議には、ロシアによる侵略が続くウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで参加し、対露制裁の強化と軍事支援継続を求めた。

ウクライナは侵略前の防衛ラインに戻すことを当面の「勝利」の目標に掲げている。G7を中心とする西側諸国は、ウクライナの目標達成のために全面支援すべきだ。

新たな対露制裁を検討

採択された首脳声明は「(ロシアの)プーチン政権に厳しい経済的損失を課し続ける」と宣言。ロシア産石油の取引価格に上限を設定する新たな制裁を検討する方針を示した。議長国ドイツのショルツ首相は「われわれはウクライナ支援で団結している」と表明した。

ただ、ここにきて対露制裁を主導してきた米国と欧州との間には温度差も見られる。ロシア産エネルギーに依存してきた欧州では物価高が国民生活を直撃。「制裁疲れ」からウクライナに譲歩を求める世論も目立ち始めている。

しかし、ロシアの力による一方的な現状変更を容認することがあってはならない。侵略は明白な国際法違反であり、これを認めてしまえば西側諸国が共有する「法の支配」の価値観を自ら傷つけることになる。

ロシアが2014年3月にウクライナ南部クリミア半島を一方的に併合した際、当時の主要8カ国(G8)はロシアを追放してG7となり、ロシアに制裁を科した。だがロシアはクリミア併合後もウクライナ東部で傀儡(かいらい)政権を樹立して政府軍と戦う親露派武装勢力を支援するなどウクライナの主権を侵害し続け、G7は有効な対応を取れなかった経緯がある。G7は今回、ウクライナの勝利まで支援を継続しなければならない。

ロシアの行動を容認すれば、覇権主義的な動きを強める中国にも大きな影響を与えることになりかねない。この意味で岸田文雄首相が、沖縄県・尖閣諸島沖の中国海警船による領海侵入や、東シナ海・日中中間線付近の中国によるガス田開発という具体例を挙げて他の首脳らに懸念を伝えたことは重要だ。

首脳声明には、対露非難を控える中国を名指しして「侵略停止に向けてロシアに圧力をかけるよう要求する」と記した。また「台湾問題の平和的な解決を促す。国際法上の義務を順守し、国際社会の安全に貢献するよう中国に要求する」と訴えた。G7が結束して中国を牽制(けんせい)する必要がある。

中露への対抗を評価

声明はまた、中国を念頭に「世界的なサプライチェーン(供給網)からあらゆる強制労働(に基づく製品)を排除すべく取り組む」と表明。中国の経済圏構想「一帯一路」に対抗して「質の高いインフラ」に5年間で6000億㌦(約82兆円)を共同で投資する方針も盛り込んだ。

世界的な食料危機については「ロシアの侵略で悪化した」と指弾。食料安全保障を増進するため、45億㌦(約6100億円)の追加拠出を打ち出した。人権や人道を重視し、権威主義的な中露両国への対抗姿勢を示したことを評価したい。

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