【社説】電力不足懸念 天然ガス依存度下げる努力を

エネルギー資源が高騰する中で、夏や冬の電力不足が世界各国で懸念されている。わが国でも政府が夏の停電回避策について関係閣僚会議を開き、7年ぶりに全国規模で企業や家庭に節電への協力を要請した。同時に、ウクライナを侵略するロシアへの制裁が強まる情勢を踏まえ、電源のうち天然ガスに対する依存度を下げる取り組みに着手してほしい。

ウクライナ危機で高騰

電力不足は、気候変動が原因とみられる温暖化がもたらす熱暑による消費量拡大、電源となるエネルギー資源の供給逼迫(ひっぱく)の両方から懸念される。今年の気象庁の暖候期予報では、夏は全国的に平年より気温が高い猛暑が予想される一方、ロシアのウクライナ侵攻は石油・天然ガスなどエネルギー資源の一層の高騰と供給不安を招いている。

強い対露制裁を科す欧州連合(EU)は、ロシア産化石燃料依存脱却計画を発表している。2030年までの温室効果ガス削減目標を土台としながら、同年までにロシア産天然ガスや石油などの禁輸を代替措置と共に実現する方向だ。これに対し、ロシアはEUの一部の国に天然ガス供給を止める報復に出てEU諸国の分断を誘っている。

わが国は、ロシア極東サハリン沖の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン1」と「サハリン2」について権益を維持する方針だ。今月決定したエネルギー白書では「電力・ガス供給に不可欠なエネルギー源」として、欧米企業が撤退するのと裏腹にロシアのエネルギー資源に期待を示した。

だが、ロシアは日本も「非友好国」に指定したのであり、北方領土問題を解決する日露平和条約交渉も中断された。ウクライナを侵略するロシアは長期戦の構えであり、国際社会のさらなる制裁強化も考えられる。ロシアとの開発プロジェクトは維持するとしても、増やしたり依存したりしてはならないエネルギー源と考えるべきだ。

わが国の天然ガス輸入先は4割近くがオーストラリアで、ロシアは8%余りだが、EUが4割以上も依存していたロシア産天然ガスを止めて別の国に輸入先を求める過程で、さらなる高騰や供給不安の可能性もある。

7月の電気料金は東京電力など大手4社が値上げを発表し、電力供給の予備率は東京、中部の各電力管内で3・1%に低下すると予想されるなど、電力事情は厳しさを増している。節電も大切だが、命の危険を伴う暑さの下では発電量を増やす取り組みも必要ではないか。

わが国は温暖化対策のため、化石燃料の電源構成比率を現在の約7割から30年までに41%に減らす目標だが、そのうち液化天然ガス(LNG)は20%、石炭は19%とされている。再生エネルギー、原子力の比率を高め、化石燃料のうち石炭の比率を増やすことも考えられよう。

石炭の活用を広げよ

温暖化問題で批判される石炭だが、わが国では温室ガス排出を少なくするクリーンな石炭火力発電の技術がある。

さらなる技術革新も見込まれており、LNGに代わる石炭の活用を広げて電源構成比率を見直すべきだ。

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