【社説】出生率1・30 少子化対策の抜本的見直しを

出生率の低下に歯止めがかからない。厚生労働省が発表した2021年の人口動態統計によると、1人の女性が生涯に産む子供の推計人数を示す合計特殊出生率は6年連続の減少で1・30だった。少子化対策の抜本的見直しが必要だ。

結婚数の減少も影響

21年の出生数は前年から2万9231人減り、過去最少の81万1604人だった。合計特殊出生率1・30は、前年より0・03ポイントの低下で、過去最低の1・26(05年)に近づいた。厚労省の担当者は、15~49歳の女性人口が1・8%減少した上、20代の出生率が低下したことを原因として挙げている。

婚数の減少も影響した。昨年結婚した人は50万1116組と戦後最少だった。新型コロナウイルス禍前の19年と比べると10万組近く減った。衝撃的な数字だと言わざるを得ない。コロナ禍の影響で出会いの機会が減少したことや結婚式を延期したことなどが原因と考えられるが、コロナが収束に向かえば自然に増加するとは限らない。

出生率1・5未満が「超少子化」と言われるが、1・3未満はさらに深刻な段階となる。人口を維持するには2・06~07が必要とされる。このまま少子化、人口減が続けば日本は確実に活力を失うばかりか国のかたちすら危うくなる。日本社会に危機感が不足している。

出生率低下は、非婚化と晩婚化が大きな原因だ。若い人たちの結婚への願望が減り、願望はあっても経済的な理由からその未来像を描けなくなっている。若い人たちに結婚の意義を啓発し生活への展望が開かれるような抜本的な支援策が必要だ。

結婚しても「子育てや教育にお金がかかり過ぎる」として、出産人数を制限する夫婦も少なくない。また、結婚や家庭の在り方の多様化ということがトレンドのように言われ、結婚してたくさん子供をつくることは素晴らしいなどと言うとセクハラ扱いされかねない。こうした風潮が結婚の価値を貶(おとし)めている。

われわれの命は両親、さらにはその先祖から受け継いだものである。それを次の世代に受け継がせることは何よりも尊い。

21年の出生率を都道府県別で見ると、最高が沖縄県の1・80で最低が東京都の1・08だ。出生率の低い東京へ出産適齢期の女性が地方から移住し、比較的出生率の高い地方での低下の原因となっている。東京一極集中からの脱却が求められるゆえんだが、コロナ禍の中で地方への移住の流れが生まれている。これを大きなうねりにする大胆な施策を政府に求めたい。

地方の出生率が高い理由は、子育て環境や自治体の子育て支援が整っていることよりも、地方の方が家族を中心とした生活に重きを置く傾向があるためとみられる。家族重視の施策なくして少子化の克服はない。

 男性の育休取得後押しを

少子化対策として導入された男性の育児休暇について、政府は25年までに「取得率30%」を目標に掲げている。目標達成にはさらなる後押しが必要だ。不妊治療への保険適用および支援もこの4月から始まった。不足面は素早く改善し実効性を高める必要がある。

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