静寂のトゥクトゥク タイから

タイらしい乗り物の代表に、三輪タクシーのトゥクトゥクがある。座席は3人掛けソファー一つのみ。屋根は付いているものの、ドアもなければ窓もない。ということは冷房はなく、バンコク中の排気ガスと熱気をまともに受けてしまう。

ただ、バンコクとシンガポールを結ぶオリエント急行の最後列同様のオープンデッキと思えば、ぜいたくな気分になれる代物ではある。

何よりトゥクトゥクは小回りが利く。渋滞都市で有名なバンコクでも車体と車体の間を縫うようにしてすり抜けることも可能だし、タクシーが通れない路地裏も走り抜けることが可能だ。

バンコクのおばちゃんたちは、ローカルマーケットで買い物を済ませると、大量に買い込んだ野菜や雑貨をトゥクトゥクに放り込み、さっそうと家路を急ぐ。料金は乗る前に事前交渉して決める。ただ、南国特有のスコールなど天候が悪化すると、運転手は簡単に料金を跳ね上げてくるので、注意を要する。

そのトゥクトゥクが、ガソリン車から電気自動車へ切り替えられようとしている。国を挙げてEV化を推進しているタイ政府は、騒音だけでなく排気ガスをもまき散らすトゥクトゥクを、補助金を付けてガソリン車から電気自動車に切り替えようというのだ。

ガソリン車でさえ静かに走るようになった近年、トゥクトゥク、バリバリと二拍子の音は、それだけで東南アジアを感じる魅力を持つ。それがなくなるのは何とも惜しい気がする。(T)

spot_img
Google Translate »