【社説】国連安保理 容認できぬ中露の拒否権乱用

国連安全保障理事会が、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受け対北朝鮮制裁を強化する米国主導の決議案を採決したが、常任理事国の中国とロシアが拒否権を行使して否決された。

拒否権を乱用して安保理を機能不全に陥らせている中露の横暴は容認できない。

対北制裁決議案を否決

北朝鮮は今年に入ってICBM6発を含む計23発のミサイルを発射している。バイデン米大統領の日韓歴訪終了後も、新型のICBM「火星17」と短距離弾道ミサイル計3発を日本海に向けて発射した。日米韓連携に対する牽制(けんせい)とみていい。

地域の安全を脅かす北朝鮮の弾道ミサイル発射は、安保理決議に違反する行為だ。特にICBMは、関係国にとって大きな脅威となっている。制裁を強化するのは当然である。

ところが、制裁決議案は中露の拒否権行使によって葬り去られた。中国の張軍国連大使は「追加制裁は弊害と対立の激化を招くだけだ」と反対理由を説明。ロシアのネベンジャ国連大使も「新たな制裁の導入は袋小路に続く道だ」と強調した。

耳を疑う。常任理事国が決議違反に対応しないのであれば、安保理は何のために存在するのか。安保理は北朝鮮が1回目の核実験を行った2006年10月から17年12月までに計10回の制裁決議をいずれも全会一致で採択した。廃案に追い込まれたのは初めてだ。

この背景には、ロシアのウクライナ侵略による米欧と中露との対立激化がある。これでは、北朝鮮が7回目の核実験を強行しても制裁を強化できない恐れがある。

ロシアはウクライナを侵略して多くの民間人を虐殺し、中国は東・南シナ海で強引な海洋進出を進めている。力による一方的な現状変更を企てる中露両国が「国際の平和及び安全を維持する」(国連憲章前文)国連の安保理常任理事国であることは、世界にとって大きな不幸だと言わざるを得ない。

安保理の機能不全は深刻の度を増すばかりだ。改革は待ったなしである。日本はかねて常任理事国入りを目指しており、ドイツ、ブラジル、インドとの4カ国グループ(G4)で連携強化を図っていた。今回の日米首脳会談で、バイデン氏は岸田文雄首相に安保理改革実現後の日本の常任理事国入りを支持すると伝えた。しかし中露と同様に拒否権を持つ常任理事国の米国が、改革にどこまで真剣に取り組むか疑問が残る。

改革に不可欠の国連憲章改正には、全常任理事国を含む加盟国の3分の2の同意が必要となる。ハードルは高いが、日本は中露の非道を訴え、改革の機運を高めていくしかない。

日米韓の連携強化が重要

ただ現状では国連を当てにできない以上、日本は中露朝の脅威に対処する上で抑止力を高めることが欠かせない。

特に北朝鮮の核・ミサイル開発に対しては、日米韓の連携強化が極めて重要である。岸田首相は米国との同盟を強化するとともに、安全保障分野を中心に韓国の尹錫悦大統領とも信頼関係を深めるべきだ。

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