【社説】コロナ対策見解 「脱マスク」日常回復への一歩

政府は、新型コロナウイルス対策のマスク着用についての新たな見解を示した。屋外で会話をほとんどしない場合は「必要ない」とし、屋内でも周囲との距離を保ち、会話を控えれば不要とした。

科学的な根拠に従った「脱マスク」で、少しずつ日常を取り戻していきたい。

屋外は距離2㍍で不要

厚生労働省の専門家組織の提言を受け、政府としての基準を示した。それによると、屋外では人との距離が2㍍以上あれば、会話の有無を問わずマスクの着用は不要。距離を取れなくても、会話が少ない場合は必要ないとしている。

さらに夏場は熱中症を防ぐために「外すことを推奨」。具体例として、ランニングや徒歩での通勤を挙げている。

屋内については、通勤電車など人との距離を確保できない場合は、会話の有無にかかわらず「着用を推奨」とする一方、2㍍以上距離を確保した上で会話がほとんどなかったり、十分な換気が行われていたりすれば「外すことも可」とした。

変異株「オミクロン株」の拡大を受けてマスク着用が推奨されてきた未就学児童については「一律には求めない」とする以前の見解に戻された。専門家からは、マスクで表情が見えにくくなり、子供の成長の妨げになるとの見解が出ていた。妥当な措置と言えよう。

もともと日本人は花粉症対策などでマスクを着用する人が多かった。新型コロナ感染拡大で、マスク生活が「新しい日常」となった状況から、慎重な傾向がある日本人が急に転換することは難しく、少し時間がかかるかもしれない。しかし、熱中症のリスクの高まる夏前には少しでも「脱マスク」したい。

後藤茂之厚労相は「リーフレットを作成し、丁寧な周知広報に努めたい」と述べた。マスクを外すことへの漠然とした不安の払拭(ふっしょく)を期待したい。

政府は水際対策でも、6月1日から大幅な緩和を行うことを決めた。1日当たりの入国者数の上限を現在の「約1万人」から「約2万人」に倍増させる。各国・地域を三つに分類し、最もリスクの低い国・地域から来日する場合は入国時検査を免除し自宅待機も求めない。

当然の措置である。しかし、入国者に2万人の上限を設ける必要はあるのか。防疫体制や受け入れ体制が不十分であれば、その体制を整えるか、国内外の感染状況を見ながらさらなる緩和を進めていくべきである。

外国人の場合、日本のルールがすんなりと受け入れられるか分からない。日本人とのトラブルが発生する可能性もある。無用のトラブルを避けるため、外国人に対しては入国の際、政府が示したルールをよく説明し、理解してもらうようにする必要がある。

まず日本人が実践を

政府見解に沿ってマスクを外している外国人に対して、日本人が白い眼を向けたり、煙たがったりするようなことがあってはならない。

そのためにも、まずは日本人が、今回示された見解をよく頭に入れて実践する必要があるだろう。

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