【社説】食料安全保障 国内生産増やし自給率上げよ

ロシアのウクライナ侵略、新型コロナウイルスの世界流行や地球規模の気候変動がもたらす異常気象などにより、世界的に穀物価格や肥料価格などが高騰している。食料安全保障が先進7カ国(G7)農相会合で話し合われた一方、自民、公明の与党はわが国の対策を強化する方針であり、国内生産を増やし自給率上昇を実現することを期待したい。

ウクライナ危機で高騰

自民党食料安全保障検討委員会は、政府が6月にまとめる経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に向けて、持続可能な食料の供給体制を構築する提言案をまとめ、原材料・食料の国産化や調達先の多様化を図る予算枠の確保などを求める方向だ。

食料自給率は、カロリーベースで2020年度に37%まで低下した。終戦後の1946年度は88%だったが、65年に73%、85年に53%、05年に40%、09年に39%と下がり続けている。

主食のコメは100%近い自給率だが、小麦は約9割を輸入しているほか、畜産物の飼料となる大豆、トウモロコシなどの穀物もほとんど輸入に頼っている。さらに国民の食生活もコメの消費は65年当時から半減した一方、パン、パスタなど小麦製品、肉類が増えたことが自給率を押し下げた一因だ。

その中で、最近の穀物価格の高騰は食品価格に跳ね返っている。農林水産省は輸入小麦の4月の売り渡し価格を17・3%引き上げて1㌧当たり7万2530円にした。主な輸入先はカナダ、米国、オーストラリアだが、昨年夏に北米大陸を襲った乾燥した熱暑が小麦の不作をもたらし、コロナ収束を見越した各国の経済再開に伴う原油価格高騰が輸送コストを押し上げた。

その上、近年、小麦輸出の世界シェアを20%に伸ばしていたロシアと9%のウクライナが戦争の事態となった。ロシアは対露制裁への報復で小麦輸出に規制をかけ、戦場となったウクライナは露軍による国土破壊や穀物略奪、輸出妨害に遭うなど、供給不安が生じている。小麦先物相場はさらに急騰し、10月の売り渡し価格が一層上昇することは避けられない状況だ。

ドイツで開催されたG7農相会合は、ウクライナへの露軍侵攻が世界の食料安全保障に重大な影響をもたらすことを懸念し、ウクライナへの農業復興支援、輸出制限の抑止などを盛り込んだ共同声明をまとめたが、まだ停戦が見通せない。逆に小麦の供給逼迫(ひっぱく)から、インドは食料安保を理由に小麦輸出を即時停止する発表を行い、さらなる高騰を招いている。

また、制裁を受けるロシアとベラルーシが化学肥料の原料となる塩化カリの産出国であることや、肥料に使う尿素、リン酸アンモニウムの輸出国である中国が、環境基準に満たない工場の操業を停止した影響で肥料も高騰している。改めて土壌に優しい有機肥料に注目したい。

コメの消費も増やしたい

円安が高騰に追い打ちをかけるが、むしろ奇貨として食料安保を強化すべきだ。国産穀物を増産するとともに主食コメの消費を増やし、小麦粉に代わる米粉の活用などで政府目標の食料自給率45%を達成してほしい。

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