3県で過去最多を更新
12日の新規感染者は全国で4万9773人と1週間前から4000人余り増えている。佐賀(612人)、愛媛(449人)、秋田(445人)の3県では過去最多を更新した。拡大が顕著で「第7波に突入した」(玉城デニー知事)沖縄県には、政府の対策チームが派遣された。
「まん延防止等重点措置」が先月22日に解除されてから1月足らずのうちに感染者が増加へと転じた背景には、オミクロン株の「BA.1」からより感染力の強い「BA.2」への置き換わりが進んだこと、さらに年度の変わり目で人の移動が増えたことがあると考えられる。
新規感染者が増加傾向にあることを受け、政府の感染症対策分科会は、重症化しやすい高齢者を感染や重篤化から守るための重点対策を政府に求めた。検査の拡充、医療提供体制の強化、ワクチン接種の促進を確実に実行する必要性などだ。
新規感染者について、厚生労働省に助言する専門家組織の会合では、10~20代の増加が顕著で、介護福祉施設での感染も継続していることが報告された。
感染の中心が10~20代となった理由は、この年代のワクチンの3回目接種が進んでいないことが大きい。65歳以上は8割を超えているのに対し、全体では4割にとどまり、東京都の20代になるとわずか2割強だ。
医療関係者からは、各地のクリニックで接種の枠が埋まらない状態が続いているとの声が伝わってくる。ワクチンがあり、接種体制もできているのに、若年層の接種が進まない理由は何なのか。速やかに検証する必要がある。
オミクロン株の特性や年齢などから、感染しても重症化リスクは低いという考えがあるとすれば大きな間違いだ。軽症でも後遺症のリスクがあり、何よりも重症化リスクを抱える高齢者や基礎疾患を持つ人に感染させる可能性がある。自身の健康と共に、家族や社会への影響を考えてほしい。
若年層の3回目接種を加速させるために、政府は大学での集団接種への財政支援などを実施する考えだ。こういった支援策を進めることはもちろんだが、3回目接種に対する若年層の意識を変えることが重要だ。
新学期が始まり、これから大型連休に向かって人の移動がさらに活発となる。政府や地方自治体は、若年層や子供を持つ親たちに、なぜワクチンの3回目接種が重要なのか、医学的意義と社会的意義を強く訴えるべきである。
新変異株の知見収集を
成田空港の検疫では、新たな変異ウイルス「XE」が初めて確認された。「BA.1」と「BA.2」が組み合わさったもので、英保健当局によると「BA.2」よりも感染スピードが12・6%速い。警戒を強化し、科学的知見の収集を急ぎたい。