【社説】露拒否権行使 安保理改革か新国連の実現を

国連安全保障理事会でウクライナのゼレンスキー大統領がロシアの軍事侵攻後初めてビデオ回線を通じて演説し、「安保理の拒否権を『死なせる権利』に変えようとしている」とロシアを批判するとともに国連が機能しない問題を強く批判した。

国際社会は第2次世界大戦の戦勝5大国が特別な権限を持つ国連の限界に直面しており、安保理改革さもなくば国連に代わる新たな国際機関創設を考えざるを得ない局面にある。

ウクライナ大統領が演説

ロシアによるウクライナ侵攻は国際法に違反するあからさまな侵略であることは明らかだ。グテレス事務総長は、ウクライナ危機に際して再三ロシアに対し、ウクライナの主権を侵害し、国連憲章の原則に違反していると警告してきた。

だが、国連憲章第7章「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」に定める暫定措置、非軍事的措置、軍事的措置のどれも行い得ていない。安保理表決は常任理事国5カ国の同意投票を含む賛成投票を必要とするため、常任理事国の1カ国でも欠ければ決定できない。この拒否権を持つ常任理事国のロシアが行った侵略に対しては、何の行動も起こし得ない状況にある。

ゼレンスキー氏の演説は、ウクライナの首都キーウ北西に位置するブチャで多くの民間人が虐殺され遺体で発見された事態を受けて行われたものだ。本来はゼレンスキー氏が訴えたように、ウクライナの民間人を虐殺したロシア軍の当事者は、戦争犯罪で速やかに裁判に掛けられるべきだ。

「第2次世界大戦以来、最も凶悪な戦争犯罪」との訴えは、大人から子供まで殺害している状況がナチス・ドイツのホロコーストを想起させるものであり、その艱難(かんなん)を生き抜いたウクライナ在住のユダヤ人の老人が今回、ロシア軍の攻撃で死亡する凄惨(せいさん)な実情を示している。

4日にブチャを訪れたゼレンスキー氏は「ジェノサイド(集団殺害)と見なされるであろう」とロシアの蛮行を批判し、停戦も遠のくとの認識を示した。同時に国連演説では「国連の目的は平和と安全を維持すること」と国連にも責任を問うたのは当然であろう。

ウクライナではロシア軍の攻撃が現地にいる人々によって携帯端末で撮影され、インターネットを通じて世界中に拡散している。これに対してロシア側が「ロシア軍は民間施設を攻撃していない」と主張しても誰も信用しないだろう。

しかし、国連安保理ではネベンジャ露大使がことごとくロシアの民間攻撃を否定し、民間人殺害も否定している。このような白を黒と言いくるめるプロパガンダにもならない嘘(うそ)と拒否権が、国連安保理の機能を失わせ、より強力な国際行動に向けた法的な効力を発揮できなくしている。世界の誰もが国連の無力を感じているだろう。

国際社会は真剣に考えよ

だからこそゼレンスキー氏が提唱する安保理改革、さもなくば国連に代わって安全保障を議論する新たな国際機関の創設などを国際社会は真剣に考えなければならないのではないか。

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