【社説】露の対日挑発 増長許さぬ打撃を与えよ

北海道南部の海域を航行するロシア海軍のウダロイⅠ級駆逐艦。この後津軽海峡を通過した=10日(防衛省統合幕僚監部提供)

ロシア海軍の軍艦10隻が津軽海峡を通過した。北方領土の択捉島でもロシア軍のミサイル演習が行われた。ウクライナ侵略に制裁を科した日本に対抗する姿勢を示すものだ。日本は制裁強化を含め、ロシアに増長を許さぬ打撃を与える必要がある。

北方領土特区法も成立

ロシア海軍は2月にウクライナ周辺の自軍と呼応する形で、極東地域で大規模な海上演習を実施。10隻は演習に参加した艦艇とみられている。ロシア海軍の津軽海峡航行は昨年10月、中国軍の艦艇と共同で通過して以来で、示威行動への警戒強化が求められる。また、日本固有の領土である北方領土での軍事演習は言語道断だ。ロシアでは、内外企業に税優遇措置を適用する北方領土特区法が成立した。日本は共同経済活動に向けた協議の中止を宣言すべきだ。

ロシアはウクライナの産科病院を攻撃するなど、極めて非人道的な作戦を強行している。クラスター(集束)爆弾や燃料気化爆弾など殺傷力の高い兵器も使われている。主権国家を侵略することも、民間人虐殺や原発への攻撃も国際法違反であり、到底容認できるものではない。全てはロシアのプーチン政権の責任であり、国際社会は侵略と残虐行為の報いを受けさせなければならない。

米国は原油や天然ガスなどロシア産エネルギーの禁輸に踏み切った。プーチン政権の資金源を断つ狙いだ。日本は天然ガスの1割をロシア産に依存しており、すぐに禁輸はできないが、依存度を極力低下させてロシアに打撃を与える必要がある。

さらに、日米欧の先進7カ国(G7)はロシアへの追加経済制裁を発表した。制裁は①重要製品に関するロシアの最恵国待遇の地位否定②主要国際金融機関による対露融資を防ぐ③プーチン大統領を支える政府関係者や新興財閥(オリガルヒ)によるデジタル資産の活用阻止――などが柱となる。米国は最恵国待遇を取り消すことで、ロシアからの輸入品に敵対国である北朝鮮やキューバ並みの30%以上の高関税を課すとしている。日本や欧州も同様の措置を取るための手続きを急ぐべきだ。

ロシアのウクライナ侵略によって、ドイツは国防費を北大西洋条約機構(NATO)の目標「国内総生産(GDP)比2%」を超える規模に増やす方針を示すなど軍備増強にかじを切り始めた。ロシアはウクライナのNATO非加盟確約だけでなく、1997年以降に加盟した東欧諸国からの部隊撤収も要求しており、欧州への紛争波及が危惧されるためだ。ロシアの身勝手な要求に屈することがあってはなるまい。

安保強化や改憲を急げ

日本にとっても安全保障の強化は大きな課題だ。防衛費の大幅な増額はもちろん、安倍晋三元首相が議論を呼び掛けた「ニュークリア・シェアリング(核兵器の共有)」についても検討する必要がある。

ロシアのほか、台湾の武力統一を狙う中国、ミサイル発射を続ける北朝鮮などに囲まれた日本は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」(憲法前文)することなどできない。憲法改正も急がなければならない。

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