【社説】北京五輪 チャレンジ精神を称えたい


北京冬季五輪はきょうで10日目。日本勢はこれまでのところ金メダル二つを含む10個のメダルを獲得している。後半戦の活躍にも期待したい。

4回転半挑戦の羽生選手

金メダルを手にしたのは、ノルディックスキー・ジャンプ男子個人ノーマルヒルの小林陵侑選手とスノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢選手である。
雪上競技の日本勢は1998年長野冬季五輪を最後に頂点から遠ざかっていたが、小林選手の金メダル獲得で待望の返り咲きとなった。72年札幌冬季五輪のスキー・ジャンプ70㍍級で「日の丸飛行隊」と呼ばれた日本勢がメダルを独占してからちょうど半世紀後の快挙でもある。

ジャンプ男子個人ノーマルヒルで金メダルを獲得した小林陵侑=6日、張家口(時事)

小林選手はラージヒルでも銀メダルを獲得した。惜しくも2冠は達成できなかったが、日本勢でジャンプ個人種目の1大会メダル2個は長野大会の船木和喜選手以来である。健闘を心から称(たた)えたい。

一方、平野選手は冬季五輪で3大会連続のメダル獲得という日本勢初の偉業を成し遂げた。2014年ソチ大会と18年平昌大会では銀メダルだったから、今回の金メダルは喜びもひとしおだろう。

決勝では1回目で転倒し、2回目は最高難度の大技であるトリプルコーク1440(縦3回転、横4回転)など5回のジャンプを決めた。だが、首位のスコット・ジェームズ選手(オーストラリア)には及ばなかった。

それでも「高さ、着地の完成度を高められれば上回る」という確信を持って臨んだ3回目。最初にトリプルコーク1440を2回目よりも高く、きれいに回って完璧に着地し、残り四つの技も高難度の出来となった。「マックスを出せた」という逆転劇で頂点に立った。

最高難度の技といえば、フィギュアスケート男子の羽生結弦選手が披露したクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)も忘れ難い。フリーでは転倒したものの、国際スケート連盟(ISU)公認大会で史上初めて認定された4回転半となった。羽生選手には94年ぶりの大会3連覇が懸かっていたが、難易度の極めて高い技に挑んだ。

もちろん、スポーツは結果が問われる。羽生選手が3連覇だけでなくメダル獲得も果たせなかったことは残念だ。だが、世界初の4回転半成功を目指したチャレンジ精神に感銘を受けた人は多いのではないか。次の機会にはぜひ成功させてほしい。

公平性への疑惑招くな

今大会では、競技の公平性に疑問が残る事態も生じている。ノルディックスキーのジャンプ混合団体では、高梨沙羅選手がスーツの規定違反で失格となった。高梨選手は全日本スキー連盟(SAJ)の聞き取りに対して「検査方法がいつもと違った」との趣旨の回答をしている。

中国・新疆ウイグル自治区の人権問題などで、北京五輪には国際社会から厳しい目が向けられている。中国当局が競技の結果まで塗り替えようとしているのであれば、これまで懸命に練習を積み重ねてきた選手への冒涜(ぼうとく)であるとともに国際社会を愚弄(ぐろう)することにほかならない。大会関係者には疑惑を招くことのないような行動が求められる。

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