【社説】北京五輪開幕人権 弾圧黙認の大会にするな

北京冬季五輪がきょう開幕する。五輪憲章に照らせば、中国がこの「平和の祭典」を開催するにふさわしい国であるか疑問だ。中国の人権弾圧を世界が黙認したとの印象を与える大会にしてはならない。

北京五輪のボイコットを求める参加者ら= 12日、東京都中央区(村松澄恵撮影)

日米は政府関係者送らず

米国や英国などは、中国によるウイグル人などへの人権弾圧を非難し、北京五輪に政府関係者を送らない「外交ボイコット」を決めた。日本は外交ボイコットは明言しないものの、これに追随した。

「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てる」という五輪憲章からすれば、外交ボイコットは当然である。しかし、この大会のために練習を積んできた選手たちから、その成果を発揮する舞台を奪うことはできない。そういう政治とスポーツのせめぎ合いの中での開催であることに留意すべきである。

一方中国は、ロシアのプーチン大統領をはじめとする外国の国家元首など要人30人余が開会式に参加することを明らかにしている。欧米主要国の国家元首や首脳は参加せず、異例の開会式となる。権威主義的国家や中国の経済圏に組み込まれた国々と自由と人権を重視する国々との対立構図を示す形となる。

1936年、ヒトラー政権下で開かれたベルリン五輪は、ナチス・ドイツの宣伝に利用された。中国のウイグル人に対する弾圧は、ナチスによるユダヤ人のホロコースト(大量虐殺)と同様のことをナチス以上に時間をかけ巧妙に行うものだ。

欧米諸国の外交ボイコットに加え新型コロナウイルス禍による一般へのチケット販売の中止などで、祝祭的なムードは相当に抑えられるだろう。しかし、五輪を開くことによって、人権弾圧は大きな問題ではないという印象を世界に植え付ける狙いが中国にはある。

習近平国家主席は、北京で開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会にビデオメッセージを寄せ、「世界は中国に目を向け、われわれは準備ができている」と語った。しかし、世界は人権弾圧にも目を向けていることを忘れるべきではない。

新型コロナ禍での開催は、昨年の東京五輪と同様、人類がコロナを克服した証しとしての大会の意義はある。「ゼロコロナ」を掲げる中国は、外部との接触を遮断する「バブル方式」を東京五輪以上に徹底し、感染を抑えようとしている。この中国式の対応も注目したい。

開催国の中国の人権問題など疑問符が付く大会ではあるが、スポーツ自体が持つ価値はいささかも減じることはない。競技を行う選手たちの姿が、いまだコロナ禍の中にある世界の人々に勇気と希望を与えるものとなることを期待したい。

選手たちは研鑽の成果を

日本は4年前の平昌大会(韓国)での冬季五輪最多メダル13個(金4、銀5、銅4)を超えることを目指す。日本代表のコーチがコロナに感染したが、選手たちは感染対策を徹底し、これまで積んできた研鑽(けんさん)の成果を示してほしい。日本でテレビ観戦するわれわれも力強い声援を送っていきたい。

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