【社説】首相年頭会見 緊張感持ち国難克服に挑め

岸田文雄首相

岸田文雄首相は歴代首相恒例となっている伊勢神宮参拝の後、年頭の記者会見を行った。新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が急速に拡大しつつある中、「大胆に挑戦する」とする一方、「慎重であるべきところは慎重に物事を進めていく謙虚さを忘れないよう肝に銘じる」との政治姿勢を示した。乗り越えるべき課題は多いが、緊張感を持ち続け国難を克服するよう挑んでもらいたい。

参院選念頭に柔軟さも

岸田首相が「特に慎重に取り組む」と指摘したのが新型コロナへの対応だ。最悪の事態を想定し、水際対策の骨格を維持しつつ、重点を国内対策に方向転換する意向を語った。
また、年頭所感で「首脳外交をスタートさせる」と述べていたが、17日召集予定の通常国会前の外遊を行わない考えを表明した。「国内のコロナ対策に万全を期す」との首相の覚悟の表れとみられる。

一方で、政権運営について「柔軟な対応も重視する」と語った。首相には、7月に迫った今年最大の政治決戦となる参院選も念頭にあるため、状況に応じて方針転換できる余地を残しておく必要があるのだろう。

コロナを封じ込めて参院選を制すれば、2025年までの3年間は国政選挙がないため、自らの政策実現に集中できる。衆院解散のカードも手にし求心力をアップできよう。逆にコロナ対策を誤れば、菅義偉前首相が「後手」批判を浴びて退陣を余儀なくされたように党内が政局化する可能性は否定できない。参院選で負ければ引責辞任に追い込まれることもあり得る。

この勝負の6カ月に首相の命運が懸かっていると言っても過言ではない。しかし、そうだからと言って野党との政策対決を軟化させることがあってはならない。対決型法案の国会提出を控えようとする動きが政権内にあるが、受け身の姿勢になるべきでない。

残念だったのは、会見内容が「コロナ」と「新しい資本主義」に偏っていたことだ。安倍晋三氏は首相在任時の年頭会見で憲法改正案の国会発議の早期実現に意欲を示し、野党に具体的な改正案の提示を呼び掛けた。首相が「新たな時代を切り開くための1年としていきたい」と言うのであれば、覚悟と信念を持って憲法改正の決意を語ってほしかった。

新たな国造りを可能にするには、その土台となる新時代にふさわしい憲法が必要なはずだ。衆院の改憲勢力は約4分の3に達している。与党の公明党は一部政治家の金権腐敗が痛手となっているが、結党以来のスローガン「大衆とともに」の本来の推進役を果たしてもらいたい。

いまだに昨年の衆院選敗北の総括ができていない野党第1党・立憲民主党だが、新たな代表の下でスタートしている。さらに政策を磨き「批判ばかりの党」のイメージから脱却すべきだ。

与野党挙げて対処を

わが国はコロナ感染拡大だけでなく、少子高齢化や弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮、沖縄県・尖閣諸島の奪取を狙う中国の脅威などの国難に直面している。これらを克服すべく与野党挙げて対処してもらいたい。

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