トップオピニオン論壇時評保守側の大統領候補は誰に

保守側の大統領候補は誰に

韓国ビッグデータ分析

韓国で尹錫悦大統領が弾劾され、憲法裁判所で審理が行われている。同じく保守系の朴槿恵大統領が弾劾された2016年から17年の時には、その後の大統領選挙では野党の勝利がほぼ見えていた。圧倒的に朴氏への支持率が下がっていたからだ。

ところが今回は事情が少し違う。戒厳令には反発しつつも、尹大統領への支持率は伸びてきており、同時に与党国民の力も上がって野党とほぼ拮抗(きっこう)する状態となっているのだ。

一方、世論調査では常にトップを走っていた野党共に民主党の李在明代表については、裁判次第では大統領候補から落馬するのではないかとの見方も出てきた。ところが野党に李氏に代わる候補者が見当たらない。一方、与党側は尹大統領の復権が叶(かな)わない場合の候補者が列を成している。早くもメディアでは名前が取り沙汰されるようになって情勢は混沌(こんとん)としてきた。

「月刊中央」(2月号)が裵鍾贊(ペジョンチャン)インサイト・ケイ研究所所長による「ビッグデータで民心を見る」の記事で、世論調査から現れる与党候補について取り上げている。

その前に、与党の支持率が上がってきたとはいっても回復したわけではない。これまで与党系は「凄惨(せいさん)だった保守の政治残酷史」と言われるほどの不遇の時代を辿(たど)ってきた。特に文在寅政府では「積弊清算で保守基盤は大黒柱や垂木さえ残すことができないほど屈服させられた」(裵所長)とし、2024年4月の総選挙でも過半数を獲得することができず、国会のねじれ状態が続いている。

裵氏は「今でも状況は大きく変わらない」とした上で、支持率が上がってきたとはいえ、戒厳への反発から「尹大統領がもはや保守勢力の求心点の役割をすることは難しいようにみられる」と指摘する。こうした背景から、尹氏に代わる人物に目が向くわけだ。

韓国ギャラップが1月7~9日に実施した調査によると、「将来の大統領に誰がいいか」の問いに李在明氏(32%)はまだトップを維持している。続いて金文洙(キムムンス)雇用労働相(8%)、韓東勲(ハンドンフン)前国民の力代表(6%)、洪準杓(ホンジュンピョ)大邱市長(5%)、呉世勲(オセフン)ソウル市長(3%)、李俊錫(イジュンソク)元国民の力代表・現改革新党議員(2%)が続く。李在明氏を除き全員、保守ないし与党の人物である。

このうち2位に付ける金文洙労相に対するビッグデータの関連ワードは「反発」「犯罪」「違反」など否定関連語が多く、その理由を裵氏は金文洙氏が「李在明代表の対称点に立っている人物として認識されているからだ」と分析した。李在明氏は多くの裁判を抱えたダーティーなイメージがある。「悪は悪をもって制する」式の発想なのだろうか。

いずれの保守人士も今のところ李氏を上回る支持を得ていない。裵氏は「結局、非常事態を克服していくための統合と協力のシナジーを勘案すれば、誰でも統合の手助けを先に差し出す側が混乱した時局の求心点になるものと見られる」と予測する。

そして「李在明の独走を阻止できる保守統合候補が誰になるかに政界最大の関心が集められている」と結ぶ。

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