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高市政権は、経済安全保障の強化と共に、「スパイ防止法」と「対外情報機関」の新設という、戦後の日本ではタブー視されてきた二つの課題に取り組んでいる。「対外情報機関」とは外国での情報収集を目的とした組織のことであり、米国のCIA(中央情報局)が有名である。政府は内閣情報調査室(内調)を格上げし、インテリジェンス(情報収集・分析)の司令塔機能を担う「国家情報局」を設立する。「スパイ防止法」も「国家情報局」も、日本国の安全保障に不可欠である。
「スパイ防止法」の目的は、国家の外交・防衛・治安維持に関する重要な秘密情報(国家機密)を外国の敵対勢力に通報・漏洩(ろうえい)する行為(スパイ行為)を処罰し、防止することにある。公務員などが特定の秘密を漏らすことを処罰する「特定秘密保護法」(2013年成立)はあるが、一般のスパイ行為全般をカバーするものではない。
1985年に中曽根政権下で、ソ連のスパイ活動活発化への危機感から、自民党議員立法として「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」(スパイ防止法案)が提出されたが、報道の自由や国民の知る権利を侵害するとして野党、マスコミ、市民団体の反対で廃案になった。
日本国内では10万人規模の外国人スパイや協力者が活動していると言われている。しかし、彼らを取り締まる直接的な法律がないため「スパイ天国」と言われるのである。スパイ活動としては、防衛省や自衛隊関係への防衛機密収集・工作活動、産業スパイによる最先端技術の盗難・海外流出、政治家や官僚への情報収集・工作活動、サイバー攻撃などが挙げられる。
これらの国の安全保障に関わる各種スパイ活動を防止するには「スパイ防止法」が不可欠である。先進7カ国(G7)の中で「スパイ防止法」を持たない国は日本だけである。これが、国際的な共同研究や機密情報共有で日本が信頼を得られない要因である。
「スパイ防止法」に対し、自由民主党、日本維新の会、参政党、国民民主党は賛成であり、日本共産党、立憲民主党は反対であり、中道改革連合、公明党は慎重姿勢である。主な賛成理由は国の安全保障上の必要性であり、主な反対理由は国民の「知る権利」「報道の自由」「人権」に対する侵害の危険性である。
これらの危険性や懸念を払拭するには、政府や政治勢力から独立して監視を行う第三者機関の設置が必要である。国会に設置し、不当な監視や捜査があった場合はこのような機関に申し立てる国民の権利救済制度を整備すべきだ。
高市政権が「スパイ防止法」成立を目指すのは、何よりも日本の安全保障を盤石なものにするためである。とりわけ国の根幹に関わる安全保障上の国家機密の漏洩・流出は国の存立を左右しかねない。
周知の通り、「中華民族の偉大な復興」を至高のスローガンに掲げ、核を含む大軍拡により台湾武力侵攻を否定せず、西太平洋に進出し、各種「情報戦」「認知戦」を仕掛ける中国の習近平政権は、対外情報活動(スパイ活動)を極めて活発化させており、日本をはじめ外国在住の中国人も中国共産党の指示に従う法的義務がある。最近でも、沖縄辺野古移設反対運動の抗議船に中国人活動家が乗船していたとの報道がある。中国共産党が狙う沖縄米軍基地廃止、日米同盟決裂、琉球独立の意図も否定できまい。
このような北東アジアの安全保障環境の激変を考えれば、「スパイ防止法」は日本防衛を盤石なものにするために必要不可欠であり、成立を急ぐべきである。






