わが国において少子高齢化問題が指摘されて久しいが、出生数の減少の勢いが止まらない。
厚生労働省の統計によれば、2016年の出生数は97万人で、戦後初めて出生数が100万人を割り込んだと話題になった。しかし、わずか10年後の今年25年の出生数は68万人を割り込む見込みだ。赤ちゃんが生まれる数が、10年で3分の1も減るわけで、深刻な状況だ。
少子高齢化のもたらす影響は、非常に大きいものだ。わが国の社会保障制度は、働く世代が老後の世代を支える世代間扶助の考え方を基本としているから、支える世代と支えられる世代のバランスが崩れれば、制度を維持することが困難だ。また、労働力の減少は、わが国の生産力の低下に直結する。私は中小企業診断士として、中小企業からの経営相談に数多く対応しているが、これらの中小企業では、若手社員を雇うことができず、社員が高齢化して人手不足が深刻な悩みとなっている。
人手不足に対する解決策として、外国人労働者を採用する企業が、非常に増えた。地方では、外国人労働者がいなければ、会社を継続することは困難な状況になっている。しかしこれも、日本社会の文化に馴染(なじ)めない外国人が増えるなど、新たな問題となっている。
これらの問題を解決するためには、家庭が本来の姿を取り戻すほか、方法がない。お父さんとお母さんが、よい家庭を築き、子供を産み増やすことが大切なのだ。子供は家庭に生まれるものだからだ。そしてそれは、かつて日本では当たり前とされていたことだ。
しかし、先日の参議院議員選挙の各政党の政策を見ると、よい家庭を育もうという、家庭を守る施策を提案しているところはない。こども家庭庁は、23年12月に「異次元の少子化対策」を策定したが、その骨子は、経済的支援の強化、こども・子育て世帯への支援、共働き・共育ての推進などであり、既に生まれた子供を支援するというものだ。もちろん、子供を大切にする政策は大切だが、出生数の増加という観点で見れば、これから生まれてくる赤ちゃんが増えるためにはどうするか、という政策でなければならない。
今必要なのは、家庭を守るための施策だ。男性と女性が結ばれて幸せな家庭を築けば、子供が欲しいと願うのは自然な感情だ。しかし、現在の日本の社会は、健全な家庭を育成するのと反対の方向に向かっている。
例えば、行き過ぎた性教育だ。性の自己決定という名目で、小中学生にも性交渉を教え、結婚を前提としない性交渉を推奨するような教育すら行われている。また、行き過ぎたLGBT教育にも同様の弊害がある。
子供が性的に自らを自覚し、抑制するためには、一定の年齢が必要だ。ジェンダー差別の防止などという名目で、日本が本来大切にしていた貞操という価値観を破壊すれば、幸福な家庭を築くことが難しくなる。
少子高齢化問題への対策として、伝統的な家庭という価値観を取り戻すことが、何よりも重要なのだ。





