小泉進次郎という人はどうも勘違いが甚だしいというか、思考の回路が一つずれているようだ。今回の総選挙の自民党大敗を受けて同党選対委員長を辞任したという。小泉氏は、辞任について「選挙の結果責任は選対委員長が全て引き受ける。当然のことだ」と説明したとのことだ。
本人は潔い責任の取り方と自負しているのだろうが、そう思っているところが救いようのないズレなのである。責任とは、重いものである。敗因を分析し、次の選挙に役立てる。戦略戦術を再構築していく上で選対委員長の役割は大きいのだ。戦いの後始末は終わっていない。それを開票結果だけ見て即「辞めます」では、職務放棄のそしりを免れない。
確かに、ポストに固執してずるずると自らの責任を曖昧にしてきたケースもあるので責任の取り方のタイミングは難しい。だが、小泉氏の場合、選対委 員長として敗因のトータルな所見をきちんと党の関係会議で明らかにするなりした上で自らの責任論に言及すべきものだろう。
彼の「選対委員長としての責任」とは何だったのだろう。全国を飛び回って応援演説したことが報われなかった、はい、私の役目は終わり、といった至って軽い責任の取り方と言わざるを得ない。
ましてや石破茂首相(総裁)や森山裕幹事長の責任について記者団から問われた小泉氏は「選挙の結果は選対委員長の責任だ。すべて私が責任を取ることだ」と強調したというから、これも極めて僭越(せんえつ)な話だ。
総裁、幹事長という党の最高幹部らを差し置いて自らが責任を取るという「ミエ」は、総裁、幹事長の矢面に立つというより、むしろ自らの「潔さ」を際立たせるパフォーマンスに近いといえよう。
小泉氏は石破首相と同様、各種世論調査で「総理にしたい政治家」で上位ランキングの常連だった。先の自民党総裁選ではその勢いで出馬したが、政策論などで底の浅さを他候補者やメディアから追及され失速したのは記憶に新しい。まだ、その教訓は響いていないようだ。(黒木正博論説担当顧問)