トップオピニオン関東大震災きょう100年 「有事」への備え 首都・政府機能の地方移転急げ

関東大震災きょう100年 「有事」への備え 首都・政府機能の地方移転急げ

東京・上野周辺を空から撮影(『東京市「東京震災録」』より)

特別編集委員・藤橋 進

10万人を超す死者・行方不明を出し、帝都東京に壊滅的な打撃を与えた関東大震災から百年、巨大化し一極集中が進む首都東京は、より大規模な災害のリスクに直面している。深刻な人口減の要因の一つにもなっている東京一極集中を打破するために、首都機能と政府機能の移転を急ぐべきである。

今後30年間に発生確率が70%とされるマグニチュード(M)7級の首都直下型地震。内閣府の推計によると、予想される被害は、死者2・3万人、建物の全壊・全焼61万棟、経済被害はGDP(国内総生産)の約2割にあたる95兆円に上る。

首都壊滅は日本壊滅の引き金ともなりかねない。非常事態に直面した場合でも、政府の意思決定と情報伝達が正常になされるよう、首都と政府機能のバックアップがどれだけ整えられているのかが問題だ。東京と大阪を1時間で結ぶリニア中央新幹線の路線に副首都を建設することも一案だろう。途中の停車駅が建設される地域は内陸で比較的地震も少ない。

関東大震災当時とは、首都圏の姿や生活様式も大きく変わっている。帰宅困難者の問題のほかにも、想定外の隠れたリスクがあるに違いない。様々なシミュレーションによって、少しでも被害を減らし、二次災害をも減らすことはもちろんだが、減災の観点からすれば、一極集中の流れを変えることが最も効果的だ。

東京圏への一極集中は、いまや「静かな有事」とも言われる出生率の低下の大きな要因となっている。出産適齢期の女性が地方から東京圏などに移動し出生数は減るばかり。移り住んだ東京は、ライフスタイルほか様々な要因から、出生率は全国最低だ。新型コロナウイルス禍で一時、東京からの転出超になったが、コロナ禍が収束しつつある今、再び転入超となり東京再膨張の指摘もある。

有事への備え、減災、少子化問題の克服のために、政府はもう一度、真剣に政府機能の地方移転を検討すべきである。3月に文化庁が日本の伝統文化の中心である京都に移転し、文化行政の刷新が期待されるが、省庁移転が盛んに議論された10年ほど前と比べ、インターネット環境などはさらに整っている。他の省庁の移転ないし部分移転を再度検討すべきだ。デジタル庁など、筆頭候補ではないか。

省庁の地方移転は、それを民間企業の移転に繋(つな)げる狙いがあったが、いまや民間企業の方が先行している。企業の生き残りをかけたリスク管理の動きや新型コロナ禍でのテレワークの経験などが背中を押している。

首都機能、政府機能の移転は、地方消滅の危機回避の切り札ともなりうる。省庁や企業の移転によって、拠点都市を活性化させ、雇用環境の改善で、地元に留(とど)まる若者も増える。地方の大学も省庁や企業との結びつきで、より存在価値を高めることが期待される。

日本民族が生き残り、繁栄を維持していくために、政府はより大胆な、持続可能で災害に強い国家のグランドデザインを描き実現させていくべきである。岸田政権が掲げるデジタル田園都市国家構想もそのような大きな戦略の中でこそ生きるはずだ。官僚の抵抗も当然予想されるが、明治・大正の政治家たちが示したような強いリーダーシップを発揮して取り組んでほしい。

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