トップオピニオン【宗教と政治】家庭連合解散請求の危険性 信教の自由否定する発信に 欧州宗教自由フォーラム会長 アーロン・ローズ氏

【宗教と政治】家庭連合解散請求の危険性 信教の自由否定する発信に 欧州宗教自由フォーラム会長 アーロン・ローズ氏

国際的な人権活動家であるアーロン・ローズ欧州宗教自由フォーラム(FOREF)会長は、日本政府が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求に踏み切れば、日本だけでなく世界の宗教的少数派への打撃になると警告する論考を寄せた。

Aaron Rhodes 欧州を拠点にする国際人権活動家。1993~2007年、国際ヘルシンキ人権連合事務総長。現在、欧州宗教自由フォーラム会長、コモンセンス・ソサエティー上級研究員。米シカゴ大学で博士号を取得。

日本は人権、民主主義、法の支配の擁護国として高い評価を得ており、活発で開かれた政治と異論に対する寛容さで知られ、称賛されている。

しかし、現政権が少数派の宗教団体を解散させるという脅しを実行に移せば、国内における信教の自由を否定するのみならず、日本は自由民主主義諸国が推進する原則を守ることに真剣ではないことを示すことになる。

統一教会として知られる世界平和統一家庭連合は、2022年7月8日に安倍晋三元首相が暗殺されて以来、日本のメディア、政党、政府機関の監視対象となってきた。手製の銃で安倍氏を撃ったとして起訴された山上徹也被告は、母親が統一教会に多額の寄付をしていたことから、安倍氏の責任を追及したと報じられている。

安倍氏は教会員ではなかったが、教会の指導者によって設立された国際NGO、天宙平和連合(UPF)が主催する会合にビデオで出席した。何年にもわたり、国内外の多くの著名人が同じことをしてきた。

この悲劇を巡る事実は、新宗教運動の専門家である社会学者のマッシモ・イントロヴィニエ氏によって報告されている。“カルト”に対する偏見が一役買った可能性がある。

暗殺直後から、教会に反対する人々がメディアやインターネット上でキャンペーンを展開し、何人かの教会員が殺害の脅迫を受けたと伝えられている。

このキャンペーンを主導したのは日本共産党であり、他の自民党議員もUPFと接触していたという事実を利用した。統一教会は、北朝鮮の共産主義政権に投獄・拷問された故文鮮明師によって設立され、激しい反共主義と社会的保守主義を掲げてきた。

反対キャンペーンを展開する他の主要人物には、その資金調達方法を非難する弁護士や、統一教会信者に脱会を説得することで金銭を得る「ディプログラマー」らがいる。

政治家が教会とわずかなつながりを持っていたという“スキャンダル”と、日本社会にとっての“カルト”(一部にはエホバの証人も含まれる)の危険性は、安倍氏の死後、日本の主要メディアの最大の関心事となった。メディアや政治家の中には、安倍氏暗殺の責任を教会になすりつける者もいる。

日本国外からの論評は有益ではない。

イントロヴィニエ氏によると、米政府の国際信教自由報告書は、「(統一教会と)エホバの証人に対する攻撃は『信教の自由を巡る』ものではなく、信者と社会に引き起こされた『害』を巡るものだという典型的な反カルトの立場を同等に扱っている」という。同報告書は米国が同盟国に「甘い」ことを示すものだと、イントロヴィニエ氏は結論付けている。

日本は米人権団体フリーダムハウスから、政治的権利と市民的自由の尊重について100点満点中96点の評価を得たが、同団体は報告書で、信教の自由に対する政府の脅威については言及を避けた。

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