ニュート・ギングリッチ元米下院議長は、安倍晋三元首相の国葬儀が行われたことを受け、安倍氏が国内外に残した功績や現在の日本の政治状況について世界日報に論考を寄せた。

安倍晋三元首相が7月8日、41歳の錯乱した男によって暗殺されたことは、日本の現状を改めて見直すきっかけとなった。
安倍氏暗殺は、精神を病んだ一人の男の犯行だったようだ。しかし、その後、長い間蓄積された反安倍感情の悪魔が、日本の政界に解き放たれた。2006年から20年まで、安倍氏が日本にかけた魔法が突然解かれたかのようだ。
共産主義、反宗教、反米のあらゆる勢力が、安倍氏の記憶、そして安倍氏が強力かつ効果的に代表していた反共、自由、親米の勢力を破壊しようと、一斉に表舞台になだれ込んできた。
安倍氏の首相としての在職期間は、06~07年、12~20年の2度にわたり、歴代で最長だった。力強く、行動力のあるリーダーだった。英国のマーガレット・サッチャー、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ、米国のロナルド・レーガン、ドナルド・トランプ氏らと同様、ナショナリズム政策と国防を強力に推進したものの、日本国内ではこれに対する反発も強かった。

サッチャー元首相が英国第一主義、ネタニヤフ首相がイスラエル第一主義、レーガン元大統領やトランプ前大統領が米国第一主義を代表するとすれば、安倍元首相は日本第一主義だった。
特に安倍氏が際立っていたのは、米国と緊密な関係を保ち、他の国々と協力して、力と自信を増す共産中国を封じ込めようとしたことだ。安倍氏は、日本が単独で中国に対処していたのでは、独立国として存続できないことが分かっていた。中国の人口と経済成長を考え、同盟国と協力して中国を封じ込める必要があると分かっていた。
同時に、日本が独立国として存続するためには、米国が重要な鍵となることも分かっていた。安倍氏が米国に好感を抱くようになったのは、若いころの経験があったからだ。