世界日報 Web版

中城の名所廃虚が撤去へ


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄本島中部に位置する世界遺産の中城城跡に行った。頂上から見渡す景色は風光明媚(めいび)なのだが、南側には巨大な廃虚が目に入ってくる。

中城城跡から見えるホテル廃墟

中城城跡から見えるホテル廃墟=沖縄県中頭郡北中城村

 5階建ての建物の窓ガラスがすべて抜け落ちていて、一部では鉄骨がむき出している。本土から来るお客さんを中城城跡に案内すると、「歴史的な建造物なのか」と問われることが多い。

 ここは、日本復帰後の1975年7月、「中城高原ホテル」として開業した。ところが、この年に沖縄で開かれた海洋博を前に営業を停止。当時を知る人によると、営業したのはたった1カ月程度だったという。

 それ以来、44年もの間、廃虚の状態が続いてきた。土地、建物とも民間所有で、基本的に立ち入り禁止となっているが、内壁にはびっしりと落書きがある。

 この廃虚は、ウォーキング大会で通過したことがある。首里城から中城城まで続く歴史の道「中城ハンタ道」は、国指定文化財だ。独特な雰囲気が好きな人は多いもので、有名歌手のミュージックビデオや、サバイバルゲーム愛好家たちのゲームの場として利用されることがある。

落書きが多いホテル廃墟

落書きが多いホテル廃墟=沖縄県中頭郡北中城村

 心霊現象が起きる場所とも一部で噂されている。地元のガイドによると、中城城跡周辺は歴史的に神々が宿る神聖な場所と位置付けられている。自然を破壊したことの祟りと考えることもできるかもしれないとの説明だった。

 そんないわくつきの廃虚だが、2020年3月までに解体することが決まった。解体費用は約2億470万円とされる。解体後は、中城公園の一画として整備される予定だ。県は1996年、中城公園基本計画を策定しており、その中で歴史博物館や体験学習施設を設置する計画を盛り込んでいる。今後、中城村と北中城村、周辺住民らと協議する方向性だ。

(T)