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辺野古移設、地域の安定に欠かせない


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設をめぐり、政府は名護市辺野古沖の新区画で土砂投入に着手した。

 2月の県民投票では移設反対が多数を占めたが、政府は推進する姿勢を堅持した形だ。

新区画で土砂投入に着手

 今回、着手したのは辺野古崎南西側の区画約33㌶。既に投入が行われている隣接の6・3㌶を含め投入が完了すれば、全体の4分の1で埋め立てが終わる計算となる。

 一方、玉城デニー知事は政府の土砂投入に「激しい憤りを覚える」と表明。「辺野古新基地建設に反対するとの民意に沿い、その思いに応える」として、移設阻止を目指すと訴えた。

 2月の県民投票では、反対票が投票総数の7割を突破した。だが投票率は約52%で、全有権者の中で反対票を投じた人の割合は4割弱にとどまる。

 県民投票は当初「賛成」「反対」の2択で問うことになっていた。しかし、普天間飛行場のある宜野湾など5市が不参加を表明。結局「どちらでもない」を加え3択として全県で実施されたが、多様な民意がどれほど反映されたか疑問が残る。

 外交・安全保障は国の専管事項であり、県民投票に法的拘束力はない。政府はこれまで「普天間飛行場の危険除去と抑止力維持を考えたとき、辺野古移設が唯一の解決策だ」として移設を進めてきた。

 軍事力を急速に拡大する中国や、核・ミサイル開発をやめようとしない北朝鮮の脅威は高まっている。特に中国は、沖縄県・尖閣諸島の領有権を一方的に主張し、尖閣周辺で領海侵入を繰り返している。さらに、沖縄に近い台湾との統一を目指しており、武力行使に踏み切る可能性も否定していない。

 こうした中、沖縄に駐留する米軍の重要性は増していると言える。辺野古移設によって米軍の抑止力を維持することは、地域の安定に欠かせない。

 そして、普天間飛行場の危険除去も急務だ。普天間飛行場は住宅密集地に立地しており、住民を巻き込む大事故がいつ起きてもおかしくはない。

 玉城氏は新年度から辺野古移設の代替案の検討を始めるとしているが、現実的な案を見つけることができるのか。危険除去を遅らせることは許されない。

 安倍晋三首相は県民投票後、玉城氏と2回会談したが、辺野古移設推進の方針を譲らなかった。当然のことだが、これを受け、県は埋め立て承認撤回の効力を一時停止した石井啓一国土交通相の決定は違法だとして取り消しを求めて提訴した。

 移設をめぐっては、辺野古崎北東の大浦湾側で約73㌶にわたる軟弱地盤の存在が確認されている。政府は構造物の沈下を防ぐため、約7万7000本のくいを打ち込む案を検討しているが、地盤改良に3年8カ月かかると試算している。

県民に粘り強く説明を

 県は、政府が地盤改良に伴う設計変更を申請してくれば、認めないことも視野に対抗する構えだが、無責任だと言わざるを得ない。政府は辺野古移設が基地負担軽減につながることを、県民に粘り強く説明し続ける必要がある。