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政治利用されるジュゴンの死


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄で生息していたジュゴンの死骸がこのほど発見された。沖縄本島で3頭確認されているうちの1頭だ。

 死骸が漂着したのは、沖縄本島東海岸の辺野古から遠く離れた西海岸の運天漁港沖(今帰仁村)だ。漁協の組合員が発見した時は、頭部や胸ビレに傷、出血が見られ、ところどころ皮がむけた状態だったという。

 大方の予想通り、ジュゴンの死は革新系の活動家やメディアに利用されることとなった。

  地元メディアやSNSでは、「政府(安倍政権)がジュゴンを殺した」とも取れる論調が目立つ。ゲート前ではジュゴンの遺影らしきものを掲げて、まるで辺野古沖の埋め立てが原因で死んだかのようなパフォーマンスをした。

 こうした情報を鵜呑(うの)みにしたのだろうか、鳩山由紀夫元首相は20日、「辺野古の埋め立てで遂に死んでしまいました。人間のエゴで生き物を殺すのは止めにしようではありませんか」とツイートした。基地反対派によって撲殺されたという怪情報もネットに流れた。ジュゴンは国内では沖縄本島周辺にしか生息していない。しかも、確認されているのは3頭だけであり、そのままでは今後の繁殖は望めなかった。

 沖縄県はジュゴン繁殖のために何をしてきたのか。翁長雄志氏と玉城デニー氏のオール沖縄県政では有効な施策は一切打ち出されていない。これこそが問われるべきとの声も聞かれる。

 16日に那覇市で開催された「県民大会」のスローガンは、「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める」だった。ところが大会では、いかにしてジュゴンを保護・繁殖するのかという建設的な議論は一切なかった。

(T)