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FC琉球、二重の歓喜


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 試合はアディショナルタイムに入り、ベンガラ色(暗い赤みを帯びた茶色)の服を着たサポーターで埋め尽くされたバックスタンドから「FC琉球、FC琉球」というコールがスタジアムをこだました。そして、試合終了の笛が鳴ると、グランドの選手、スタッフ、観客が一体となって喜びを分かち合った。

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優勝を決め、選手と共に喜ぶサポーター=3日、沖縄県総合運動公園陸上競技場

 FC琉球がJ3の優勝とJ2昇格を同時に決めた“歴史的瞬間”だ。沖縄屈指のサッカークラブFC琉球が創設されて15年目、J3に参入してからは5年目のシーズン。道のりは長かったろうが、15年目での優勝・昇格は決して遅くない。3試合を残した上での優勝はJ3史上最速だ。

 29試合で64得点を積み重ねる攻撃サッカーで昇格をつかみ取った琉球は、ホームでは無敗。サポーターにはうれしい強さだ。

 FC琉球の倉林啓士郎社長はスタジアムの外で選手を待つサポーターを前に、「みなさん、おめでとうございます」と喜びを分かち合った上で、「我々の目標はJ2やJ1に上がることではなく、地元沖縄に根ざしたサッカークラブになることです」と話した。

 FC琉球はJ3の過去4年間、結果が伴わず、一度も優勝に絡むことがなかった。中でもホームゲームに勝ちきれないシーズンが続いた。特に、大規模イベントを打つ時に負けたり、シーズン後半に失速するのが“定番”となり、客席は空席も目立っていた。

 ところが、今シーズンは昨年までとは全く違うチームに生まれ変わった。優勝を決めた試合も、スタジアムの座席の約8割が埋められ、過去最大の約7800人が訪れた。

 倉林氏は今回の優勝と昇格がFC琉球にとって「旅の序章」にすぎないと強い意欲を示していた。

(T)