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沖縄御訪問、両陛下と県民の心の絆確認


 天皇、皇后両陛下は2泊3日の沖縄御訪問を終えられた。通算11度目となるが、来年の退位を控え、在位中最後とみられる御訪問であった。

 両陛下は長年沖縄へ寄せてこられた変わらぬ思いを改めて示され、その深いお気持ちを知る沖縄の人々との心温まる交流が持たれた。

特別な思いを寄せられる

 両陛下は、サイパン島やパラオなど慰霊の旅を続けられた。中でも、地上戦で民間人を含む多くの犠牲者を出した沖縄に対しては特別の思いを持っておられる。今回の御訪問でも、真っ先に本島南部、糸満市の沖縄平和祈念堂、国立沖縄戦没者墓苑を訪れ供花された。

 沖縄戦で犠牲となった18万人余りの遺骨が納められた同墓苑では、出迎えた遺族ら一人一人にお辞儀をされ、「お元気にお過ごしください」などとお声を掛けられた。一方、那覇市の国際通りでは5000人の県民による奉迎パレードが行われた。

 両陛下が初めて沖縄を訪問されたのは、皇太子御夫妻時代の1975(昭和50)年7月。この時、「ひめゆりの塔」で極左過激派から火炎瓶を投げ付けられる事件があったが、陛下は「(沖縄戦で)払われた多くの尊い犠牲は、一時(いっとき)の行為や言葉によってあがなえるものではなく、人びとが長い年月をかけて、これを記憶し、一人ひとり、深い内省の中にあって、この地に心を寄せ続けていくことをおいて考えられません」との「談話」を発表された。

 両陛下の沖縄への関わりは、まさにこの談話を自ら実践される歩みであったと言える。

 陛下が寄せられる沖縄への思いは、訪問を切望されながら、遂(つい)に果たせなかった昭和天皇の御無念を晴らすという意味もあったに違いない。

 87年10月、御病気の昭和天皇の名代として沖縄を訪問された陛下は「健康が回復したら、できるだけ早い機会に訪問したい」という「お言葉」を代読された。だが、昭和天皇はその1年余り後に崩御された。

 93年4月には天皇として初めて御訪問。99年11月の即位10年の会見では「苦難の道を歩み、日本への復帰を願った沖縄県民の気持ちを日本人全体が決して忘れてはならない」と発言されている。

 今回の御訪問で両陛下は、日本最西端の島、与那国島を訪問された。わが国には万葉集の昔から、歴代天皇が人々の繁栄と安寧を祈る「国見」の歌が残っている。全国津々浦々を訪問されている両陛下だが、天皇としての最後の沖縄御訪問で日本最西端の碑が建つ「西崎(いりざき)」に立たれた意味は小さくない。

 与那国御訪問は日帰りの旅ではあったが、地元の人々が演じる伝統芸能を鑑賞されたり、日本在来馬「与那国馬」や世界最大級のガ「ヨナグニサン」の標本、水揚げされた巨大なカジキなどをご覧になられたりした。

人々との交流楽しまれる

 テレビでも両陛下が人々との交流を楽しんでおられる御様子がうかがわれた。

 2泊3日の短い旅だったが、両陛下と沖縄県民との間に結ばれた心の絆を確認する旅でもあった。