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沖縄慰霊の日、抑止力向上で平和を守りたい


 沖縄県はあす、第2次世界大戦末期の沖縄戦での全戦没者を追悼する「慰霊の日」を迎える。72年前に沖縄に上陸した米軍との地上戦は凄惨(せいさん)を極め、日米両軍と民間人らを合わせて20万人余が死亡した。

 沖縄県が制定した日だが、県外出身の兵士も多く亡くなっている。国民一人ひとりが深く哀悼の祈りを捧(ささ)げたい。

 戦争当時も今も要衝

 沖縄戦をめぐっては、沖縄が「捨て石」にされたと強調する向きがある。沖縄の人たちに本土への不信感を植え付ける考え方だと言わざるを得ない。

 日本は当時、沖縄防衛を本土防衛の最前線と位置付け、物量で圧倒する米軍に対して総力戦で戦った。沖縄の民間人約9万4000人が犠牲になる一方、約6万6000人の県外出身の兵士が亡くなった。決して沖縄を見捨てたのではないことを改めて確認したい。

 沖縄戦のような悲惨な戦争を繰り返してはならない。平和を守るためには、常に抑止力向上に努めることが求められる。

 沖縄が戦略的要衝であることは、当時も今も変わらない。現在の日本にとって、沖縄の米軍基地は日米安保体制の実効性を担保するものである。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設は、危険除去と抑止力維持のために欠かせない。

 辺野古移設に関しては昨年12月、埋め立て承認を取り消した沖縄県の翁長雄志知事が是正指示に従わないのは違法として、国が起こした訴訟の上告審判決で、最高裁が知事側の上告を棄却。国側の勝訴とした一審福岡高裁那覇支部判決が確定した。

 それにもかかわらず、辺野古移設に反対する翁長氏は埋め立て工事の差し止め訴訟を起こす方針だ。「辺野古に新基地は造らせないとの公約実現に不退転の決意で取り組む」としているが、不毛な法廷闘争を続けるのはやめるべきだ。

 中国は沖縄県・尖閣諸島の領有権を一方的に主張し、尖閣周辺では中国公船が領海侵入を繰り返している。翁長氏は、こうした事態をどれほど深刻に捉えているのだろうか。翁長氏は中国の脅威にさらされている離島への関心が低いとの声も上がっている。

 翁長氏が、米海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイの普天間配備に反対していることも理解し難い。オスプレイは老朽化したCH46ヘリコプターの後継機だが、武装兵士24人を乗せた戦闘行動半径は約600㌔で尖閣や石垣島などをカバーできる。

 一方、CH46は140㌔にすぎず、尖閣さえ圏外だった。オスプレイは空中給油1回で約1100㌔まで伸び、中国沿岸部や台湾、フィリピン北部まで含むため、南シナ海で強引な海洋進出を行う中国を牽制(けんせい)することも可能だ。

 基地負担軽減にも努めよ

 もちろん沖縄の基地負担は重く、日米両政府は抑止力を損なわない範囲で負担軽減に努める必要がある。昨年12月には、沖縄県最大の在日米軍施設・区域である北部訓練場の過半に当たる約4000㌶が日本側へ返還された。こうした取り組みを今後も続けるべきだ。