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世界遺産候補に「琉球」使わず


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 政府はこのほど、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」と「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本両県)を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に世界遺産候補として推薦することを正式に決めた。「奄美・沖縄」は、鹿児島県の奄美大島と徳之島、沖縄県の沖縄本島北部のやんばる地域と西表島の亜熱帯照葉樹林の約3万8千㌶が対象。

 林野庁は、生態系について、「大陸から分離し、小島嶼(とうしょ)が成立する過程において、地史を反映した独自の生物進化がみられる」と指摘、生物多様性については「国際的にも希少な固有種に代表される生物多様性保全上重要な地域である」と認定した。この地域は、アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコなど、国際自然保護連合のレッドリスト(2015)に登録された絶滅危惧種86種を含む動植物の生息・生育地となっている。しかも、70種はその地域にしか生息しない固有種だ。

 やんばる地域においては、国頭半島の東側に位置する米軍北部訓練場(国頭村、東村)の約半分が昨年末、返還されたことが記憶に新しい。今月1日にユネスコ世界遺産センターへ世界遺産推薦書を提出したのを経て、秋ごろ、世界遺産委員会諮問機関(IUCN)による現地調査および評価が行われ、2018年の世界遺産登録の可否を待つ。

 これまで、候補名として使われてきた呼称「奄美群島・琉球諸島」でないことについて、ユネスコ関係者は「ユネスコから地域を特定できる名称にするよう要請があった」と説明。語呂が悪いため「群島」と「諸島」という言葉を省いてスッキリしたという評価もあるという。中国が沖縄に対してこだわり続ける「琉球」の言葉をあえて排除したということではなさそうだ。(T)