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与那国陸自部隊、南西諸島の防衛体制強化を


 日本最西端の与那国島(沖縄県与那国町)で陸上自衛隊の「与那国沿岸監視隊」が創設され、任務を開始した。

 1972年の沖縄の日本復帰後、同県内で新たな自衛隊施設を設置するのは初めてだ。中国の海洋進出をにらみ、南西諸島の防衛体制を強化するための第一歩である。

 中国の海洋進出に対処

 沿岸監視隊は国境近くに配置される部隊だ。北海道に二つあり、これで三つ目となる。与那国島の駐屯地を視察した中谷元・防衛相は、隊員160人を前に「国境の最前線に位置し、(陸海空の)統合機動防衛力の先駆けとなる重要な部隊だ」と激励した。

 与那国島から北に約150㌔離れた尖閣諸島周辺では、一方的に領有権を主張する中国当局の船による領海侵入が続いている。昨年11月には尖閣の南側海域を軍の情報収集艦が航行、翌月には機関砲を積んだ海警局の巡視船が領海に侵入する動きが確認された。

 南西諸島では、中国軍の艦艇や軍用機が沖縄県の先島諸島を通過して東シナ海と太平洋の間を行き来したり、尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したりするなど、露骨な海洋進出が目立つ。離島の防衛体制強化は当然のこととはいえ、わが国の確固たる防衛意思を示すものとなろう。

 鹿児島県の大隅諸島から与那国島までの南西諸島は全長約1200㌔。アジア太平洋における米国の軍事的関与を排除しようという中国の軍事的防衛ライン「第1列島線」に重なっている。沖縄本島から与那国島までの約500㌔の地域は、陸自部隊が配備されていない「空白地域」だった。

 この地域では、海上自衛隊の哨戒機と護衛艦、海上保安庁の巡視船が断続的に監視しているとはいえ、絶え間なく警戒し続けることはできなかった。与那国島に沿岸監視隊が配備されたことで、今後は中国の艦船や航空機の動きを常時監視できるようになる。

 島の中央部と西部の2カ所に設置したレーダー、高性能双眼鏡などを使って空と海を監視するほか、飛来してくる通信電波も収集する。宮古島の航空自衛隊のレーダーが使用できなくなった場合に備え、空自の移動式警戒管制レーダーが展開できる用地も確保した。

 ただ、与那国島では配備に反対する住民も少なくない。昨年2月には、その是非を問う住民投票も行われ、賛成票が632、反対票が445だった。

 160人の隊員が常駐すれば災害時の救援活動や経済効果などが期待でき、島の活性化にもつながろう。政府には沿岸監視隊の意義について丁寧な説明が求められる。

 防衛省は九州・沖縄の防衛力を高める「南西シフト」を進める。今後、奄美大島や宮古島、石垣島などに対艦ミサイル部隊、対空ミサイル部隊を配置する計画だ。

 更なる配備を遅滞なく

 政府は海洋進出を強める中国を牽制し、抑止力を高める上で、南西諸島においての更(さら)なる部隊配備を遅滞なく行わなければならない。