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辺野古移設、疑問残る沖縄第三者委の報告


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画をめぐって、沖縄県の翁長雄志知事が設置した第三者委員会が、仲井真弘多前知事が行った移設先の同県名護市辺野古沖の埋め立て承認について疑義を呈した。承認は法律が求める要件を満たしておらず、瑕疵があるとの報告書をまとめたのだ。

「反対」の結論ありきか

 これを受けて、翁長知事は承認の取り消しをも含めて対応を慎重に検討する考えを示した。知事が承認を取り消せば、国は埋め立て作業を行う法的根拠を失う。そうなると、取り消し無効を求めて、防衛省が国土交通相に審査請求するなど対抗措置を講じることになり、事態の紛糾が憂慮される。

 だが、この報告書には疑問が残る。沖縄では激しい米軍基地反対運動が展開されている。報告書はそれに迎合して、最初から「移設反対」の結論ありきでまとめられたものである可能性が高い。

 例えば、報告書は埋め立ての必要性について「合理的な疑い」があるとしているが、首を傾げざるを得ない指摘だ。さらに「環境保全措置が適正に講じられているとも言い難い」と結論付けている。だが、県は環境影響評価についての意見書を受け取って、これを精査している。この結論は納得できない。

 普天間飛行場は住宅密集地に立地し、「世界一危険な米軍基地」とされている。2004年には、飛行場に近い沖縄国際大学の構内に米海兵隊のヘリコプターが墜落したことがある。移設による住民の安全確保は緊急の課題であった。

 さらに指摘しなければならないのは、移設の決定権は知事にはないことだ。これは知事の管轄外の安全保障に関わる政策であり、主要責任は国すなわち政府にある。現に移設は安全保障と地元住民の便宜の双方を熟慮して、日米両政府が1996年に合意したものだ。

 菅義偉官房長官は、報告書について「政府としてコメントを控えるべきだと思う」と述べた。その上で「わが国は法治国家であり、行政の継続性の観点から承認に基づいて埋め立て工事を進めている」と述べた。当然の見解だ。

 この問題をめぐって忘れてならないことは、国際環境の変化である。沖縄県・尖閣諸島周辺では中国公船の領海侵入が続いている。さらに東シナ海の日中中間線付近では中国がレーダー設置可能な建造物を造っていることも判明している。

 中国政府は尖閣の領有権を主張しているが、それは国連機関が尖閣周辺の石油埋蔵の可能性を指摘した後の1971年からで「油欲しさ」のためであることは明らかだ。

首相は県民説得に努めよ

 沖縄は中国や韓半島をにらむ戦略的要衝である。日本や東アジアの平和と安定を維持するためには在沖縄米軍の存在が欠かせない。

 ただし、沖縄が重い基地負担を引き受けていることは事実だ。安倍晋三首相には負担軽減を着実に進めるとともに、辺野古移設の円滑化に向け、これまで以上に県民の説得に努めることが求められる。

(7月22日付社説)