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大局的見地で辺野古移作業の停止指示撤回を


 沖縄県の翁長雄志知事が米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の同県名護市辺野古沖への移設計画をめぐり、移設関連作業を1週間以内に停止するよう沖縄防衛局に指示した。従わない場合は、埋め立てに必要な岩礁破砕許可を取り消すという。

 沖縄県知事が選挙で公約

 翁長知事がこのような挙に出た背景には、昨年11月の県知事選で「あらゆる手段を尽くして辺野古に基地を造らせない」と繰り返して主張し、自民党系地方議員から社民、共産党まで幅広い層の支持を集めて当選したことがある。

 さらに日米両政府が立ち入りを制限した工事区域の内側の調査を政府と米軍に求めたが断られた上、沖縄防衛局が中断していた掘削調査が一方的に再開されたことに不満を募らせた。

 だが翁長知事は自身の立ち位置よりも、わが国全体の安全保障に関わる日米関係の重要性という大局的な見地に立って停止指示を撤回すべきだ。普天間飛行場は住宅地の真ん中にあるため、万一の事故の場合には日米関係に決定的な悪影響を及ぼす恐れがある。危険性を除去するには、辺野古への移設が欠かせない。

 移設が滞ればどうなるか。米海兵隊のダンフォード総司令官は在沖縄海兵隊のグアムへの移転に影響しかねないとの認識を示している。それでは沖縄の負担軽減にならず、住民の対米不満が増大し日米安保体制への不信が一層高まることになろう。

 日米関係は重要な節目にある。日米両政府は4月下旬に外務・防衛当局の閣僚級協議(2プラス2)、同28日にはワシントンで首脳会談の開催をそれぞれ予定している。しかも今回は日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を18年ぶりに見直すことになっている。今の時期に移設が停滞すれば、米国の信頼が失われかねない。このことを翁長知事は認識すべきだ。

 停止指示について、菅義偉官房長官は「違法性が重大かつ明白で、無効なものだ」と非難。政府は関連法を所管する林芳正農林水産相に取り消しを求める審査請求などを行った。辺野古への移設計画を粛々と進める必要がある。それとともに居丈高にならず、県民との対話を重ねることが肝要である。日米安保体制の要が在沖縄米軍基地であることを意を尽くして説明することが求められる。

 指摘しなければならないのは、移設工事は安倍政権が仲井真弘多前知事との間で手続きを踏み、その上で作業に着手したものであることだ。この点について中谷元防衛相は「昨年7月以降、ボーリング調査に必要な協議を行い、県からは許可申請は不要だとの回答を得ている」と強調している。

 抑止力の重要性伝えよ

 残念なことは、沖縄で基地反対の活動があたかも平和運動であるかのように喧伝(けんでん)されていることだ。かつての安保反対運動を思わせる。

 参加者は良識的で平和愛好家のように報じられている。しかし現代の平和は、敵対的国家に「攻撃すれば自分もやられる」と思わせる抑止力によって成り立っているとの世界の常識を何度も県民に伝える必要がある。

(3月25日付社説)