●世界を驚かせたウクライナ
2022年から始まったロシアとウクライナの戦争は短期間でロシアが勝利すると思われた。ロシア軍はウクライナ首都キーウを包囲状態まで接近したが撃退されウクライナ北部から撤退した。さらにウクライナ軍は反転攻勢を行いウクライナ東部までロシア軍を追い詰める。
ウクライナ軍は欧米から軍事支援を受けてロシア軍に対抗しているが、乏しい物資を補う目的でドローンを偵察・攻撃に活用する。すると安価なドローンが偵察だけではなく、ロシア軍の戦車・歩兵戦闘車・トラック・指揮所・歩兵まで攻撃し多大な戦果を上げた。これで世界は安価なドローンの活用に驚き対策に動き出す。

2025年6月1日にウクライナ保安庁(SBU)はスパイダーウエブ(蜘蛛の巣)作戦を実行し複数のロシア軍基地への攻撃を成功させた。これはウクライナから4700km離れた場所のロシア軍基地を攻撃させたことと、基地防衛が難しいことを世界に示し衝撃を与えた
●予想を超えたドローンの能力
安価なドローンを大量に用いて攻撃するスウォームは10年前から想定されていた。しかし実戦で大規模にドローンを投入するのはウクライナ軍とロシア軍でありドローンへの対抗策も同じだった。ウクライナ軍とロシア軍のドローンを用いた攻撃と防御は2年間で急激に成長し、世界に急激な変化に対応することを迫っている。
アメリカ軍も10年前からドローンを脅威と見なし電波妨害で対抗する手段を見つけていた。これはウクライナの戦場でも使われて一定の成果を出しているが、大量のドローン攻撃には対応できないことが鮮明になった。
何故ならウクライナ軍とロシア軍は電波妨害を受けない光ファイバーを用いた有線式で運用する。こうなると射程は短くなるが誘導が可能。さらに実験的にAIをドローンに搭載したAIドローンまで投入されている。AIドローンは少数だが電波妨害を受けないで運用できるから今後使用が拡大することは間違いない。
●基地防衛が脆弱
ウクライナ保安庁(SBU)が成功させたドローンによる攻撃はロシア空軍の戦略爆撃機を30%破壊したと報告されている。実際の損害は今後明らかになるとしてもアメリカ軍でさえ基地防御が脆弱であることを認める現実だった。民間のトラック・コンテナに偽装して敵基地付近まで接近し攻撃を成功させたことは日本の自衛隊も備えなければならない緊急事態になった。
■【分析】ロシアの爆撃機狙ったウクライナの大規模ドローン攻撃、米軍基地の脆弱性も浮き彫りに
https://www.cnn.co.jp/world/35233974.html
日本の致命的な問題は政治家の国防軽視であり、自衛隊が電波妨害を行うとしても警察の許可が必要と言う致命的な問題を抱えている。これでは基地・護衛艦に接近するドローンを対空機関砲で迎撃することは現地司令官の独断で行うことになり、最悪の場合は基地司令官が政治家から解雇されることを意味する。
SBUはロシア空軍基地に接近しドローンによるスウォームを行い成功させた。これは平時だとしても仮想敵国が自衛隊基地・在日米軍基地付近にドローンが配置され、時が来ると基地周辺から自衛隊基地・在日米軍基地を攻撃する。これが予想されるのに、日本の自衛隊基地・在日米軍基地周辺の土地を外国人が買える危険な状態だ。
この段階で中国はSBUと同じスウォームを行えるから優位性を持っている。これは日本の政治家が国防を意識すれば法律で対応できるが、電波妨害と外国人に土地を買わせないことも放置されている。
●ドローン対策
日本は政治家が国防軽視なので自衛隊基地・在日米軍基地は危険な状態になったことは明白。これを解決するには国民が選挙で愛国心のある政治家を選ぶことが必要。同時にアメリカのトランプ大統領の圧力で自衛隊基地・在日米軍基地周辺の土地を外国人に買わせない法律を作ることが必要。悲しいことに日本は外圧がないと変わらない悲しい現実がある。
さらに平時だとしても自衛隊基地・在日米軍基地に接近するドローンには電波妨害と迎撃が可能になる法律が必要。そして電波妨害に頼らない制空権獲得用ドローン・迎撃用ドローン・対空機関砲・レーザー・マイクロウエーブ・ショットガンを複合的に使った基地防御システムが必要だ。
3000年の戦争史を見ると技術の進歩で兵器が変わることはあるが本質は変わらない。ドローンは新しい兵器だが運用の本質は攻撃と防御。この本質を見直すと第二次世界大戦でアメリカ海軍が用いたビッグ・ブルー・ブランケット(大規模戦闘機網)がある。
【ビッグ・ブルー・ブランケット】
・艦隊前衛:戦闘空中哨戒機(CAP)を配置
・艦隊上空:戦闘機を絶えず配置
・空母・輸送船の周囲50マイルにレーダーピケット護衛駆逐艦を配置
アメリカ海軍のビッグ・ブルー・ブランケットは三段構えの防御で日本軍の特攻攻撃に対応している。さらにアメリカ海軍は日本軍の特攻隊の出撃基地を攻撃して根元を遮断。攻撃と防御がワンセットになった運用の基本。戦後は戦闘空中哨戒機はE-2早期警戒機に変わり、艦隊上空戦闘機はF-14戦闘機に変わり、レーダーピケット艦はイージス艦に変わった。さらに今もアメリカ海軍に兵器が変わっても採用されている。同時にドローン対策に応用可能。
【ドローン対策】
・基地周辺:AIドローンを用いた偵察型を配置
・基地上空:制空権獲得用ドローン・迎撃用ドローンを配置
・基 地:対空機関砲・迎撃用ドローン・レーザー・マイクロウエーブ・ショットガンで迎撃
ドローンによるスウォームに対応するには可能な限り離れた距離から探知と迎撃が必要。敵のスウォームを段階的に減らしながら基地の制空権獲得用ドローン・対空機関砲・迎撃用ドローン・レーザー・マイクロウエーブ・ショットガンで最終的に迎撃する。
人員不足に対応するためにも制空権獲得用ドローン・迎撃用ドローンはAI搭載にしてオペレーターが目標を指定したらAI搭載の制空権獲得用ドローン・迎撃用ドローンが識別して攻撃するAI開発が求められる。
対空機関砲は信頼の兵器だからAIの能力不足を補う必要がある。さらにレーザー・マイクロウエーブも新兵器だから対空機関砲が補う必要がある。これは技術の進歩で迎撃が対空機関砲からレーザー・マイクロウエーブに移行するために必要。さらにアメリカは以前から開発中だから日米共同で実験部隊の運用は可能だ。
ショットガンはウクライナの戦場で最終的な手段として、ウクライナ軍とロシア軍で採用されている。ショットガンの射程は100m以内と短いがレーダーと火器管制装置と組み合わせれば基地防衛だけではなく駐機している機体を守ることが可能。さらに戦車・歩兵戦闘車・トラックに搭載すれば自己防衛だけではなく基地防衛にも使える。
自衛隊基地・在日米軍基地で平時から対空機関砲で防御することは難しい。何故なら民間住宅の上空で砲弾が炸裂すると被害を拡大させる。このためショットガン+火器管制装置であれば安く大量に配置できるから平時でもドローン迎撃に対応できる。
●日米共同で日本の政治家に法律を変えさせる
私のアイデアの致命的な問題は日本の政治家が持っている。今後AIドローンが主流になることは明白であり基地付近からスウォーム攻撃が行われることも明白。これには日本の法律を変えて“基地に接近する未確認のドローンを基地の独自判断で迎撃できる”権限が必要。これは自衛隊基地だけではなく在日米軍基地にも有益。
日本国内で法律を変えることは絵に描いた餅。そこで自衛隊基地と在日米軍基地を連携させ、在日米軍基地からアメリカのトランプ大統領へ法律を変更させるための必要性を説く。トランプ大統領が必要性を理解してくれたら日本政府に圧力を掛けて法律の変更と法整備が可能になる。必要なのは自衛隊基地・在日米軍基地周辺の土地を外国人に買わせない。基地に接近するドローンを基地の判断で迎撃する権利だ。
(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)