トップ国内防衛AIドローンと自衛隊増員で国防を強化せよ

AIドローンと自衛隊増員で国防を強化せよ

●激化するドローン戦争

ロシアが2022年2月24日にウクライナへ侵攻した。ロシアがウクライナへ侵攻した段階ではロシア軍が優勢でウクライナ軍が劣勢だった。ロシア軍がウクライナへ侵攻することは予期されたがウクライナ軍がロシア軍を撃退することは予期されなかった。

欧米はロシアを仮想敵国と見なしていたのでウクライナを軍事支援した。それでもウクライナ軍の戦力は乏しい。そこでウクライナ軍は安価なドローンを戦場に投入しロシア軍に多大な損害を与えた。

奪還されたイジュム市を訪問したゼレンスキー大統領(UPI)

遅れてロシア軍もドローンを戦場に投入しウクライナでドローン戦争が激化している。これまでは一人の人間がドローンを操作していたが、実験的にAIが指定された目標を攻撃するAIドローンも投入された。ウクライナはドローン戦争の雛形であり未来の戦争を日本に示している。

●劣勢でもアイデアと技術で対抗

ウクライナ軍の戦力は大雑把に言えばロシア軍の半分と言われる。それでもウクライナ軍は戦闘を続けており、2025年の段階ではロシア軍の戦死者は20万から25万人、ウクライナ軍の戦死者は4万人と推測されている。ロシア軍の損害はウクライナ軍よりも4倍多いので人命無視の攻撃だけではなくウクライナ軍の抵抗も起因している。

欧米は対戦車兵器としてNLAWと対戦車ミサイル・ジャベリンをウクライナ軍に提供し多大な戦果を上げた。だが対戦車兵器が不足しているのでウクライナ軍は安価なドローンに無誘導のRPG-7の弾頭を搭載して戦場に投入。すると高価な対戦車ミサイルに劣らぬ戦果を上げている。

砲兵隊は地上の歩兵からの通信を中継して砲撃を行っていた。だがドローンに搭載されたカメラを用いると既存の手法よりも時間短縮になることが判明。さらにドローンは対人ミサイルとも言える使い方をされ、砲撃で爆発の破片で負傷者を増加させるよりも確実に殺害する使い方が増加した。これでウクライナ軍は戦力で劣るがアイデアと技術で、優勢なロシア軍に対抗した。

■ロシア艦船用レーダーシステム「ザスロン」に、ウクライナが初の攻撃成功…ドローン突入の瞬間映像
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2025/05/550510.php

ロシア軍もドローンを投入しているがウクライナ軍の方がドローンの知識・技術・運用能力が上回る。ウクライナ軍の水上ドローンが黒海上空でロシアの戦闘機を撃墜したとされ、さらにウクライナ軍はロシア軍の探知能力300キロメートル・同時に最大200の対象を追尾するとされるザスロン・レーダーの攻撃に成功したとされる。安価なドローンが高価な兵器を撃破できることは費用対効果が大きい。このため小国でも敵軍に対応できることを日本に示唆している。

●AIドローンと自衛隊の増強が必要

ウクライナ軍を見ると明らかに自衛隊にドローン部隊の創設とドローンを迎撃する兵器・部隊の増加が求められる。既存の兵器・部隊はヘリコプターや戦闘機を迎撃するが高価なミサイルを使う。このため高価なミサイルで安価なドローンを迎撃することは費用対効果から好ましくない。

ドローンの戦果を見て一部には「自衛隊にドローン部隊を創設し自衛隊総兵力を今の23万人規模から5万人規模にできる」と発言する者が出た。私から見れば自衛隊へのドローン部隊の創設には同意するが、自衛隊の総兵力を5万人に縮小することには反対だ。

発言者はドローンにより遠方から敵を攻撃できるから人命の損失はないに等しく、このため自衛隊員の待遇改善と給料を増加させ5万人に縮小することが好ましいらしい。だがウクライナ軍とロシア軍を見るとドローンを投入しても人員の削減よりも人員の増加に突き進んだ。現実を見ればドローンを投入しても人的損害を避けられず、むしろ人員の増加が示唆されている。

基本的に常備軍は総人口の1%が限界であり、少子高齢化の要素を加えて算出する。このため日本の総人口は約1億2千万人だから少子高齢化の要素を加えると、自衛隊の総兵力は80万で軍縮規模で50万人となる。今の自衛隊の総兵力は約23万人だから軍縮規模以下の戦力。これでは戦争すると損害回復が難しいことを示している。

さらにドローン部隊を創設するとしても一人のオペレーターが一機のドローンを操作するのではなく、AIドローンにして一人のオペレーターが数百機のAIドローンを操作することが好ましい。さらにAIドローンにすれば既存の遠隔型ドローンとは異なり電波妨害で機能停止にならない長所がある。

そうなれば自衛隊はドローンを物理的に迎撃する機関砲・小型ミサイル・レーザー兵器でAIドローンを迎撃することが求められる。30ミリクラスの機関砲であれば自衛隊は既に配備している。このため歩兵戦闘車・対空戦車を増加させ戦車と歩兵をAIドローンから防御することが求められる。理想としてはレーザー兵器だが実験兵器のレベル。このため確実な機関砲から大量配備して戦車・歩兵を防御し、さらに小型ミサイルを配備することになるだろう。

だが30ミリクラスの機関砲と歩兵戦闘車・対空戦車を配備するとしても。歩兵10人単位、戦車4両単位で防御しなければ防御出来ない世界。実際にウクライナの戦場ではドローンから守られない歩兵・戦車が損害を受けている。

●周回遅れの日本

日本は技術はあるが自衛隊増員と待遇改善が遅れている。さらに戦場の変化に遅れているから損害回復が困難な状態だ。将来はAIドローンが主流になるから兵士の損害も増加することは避けられない。何故なら戦場だけではなく戦線後方の兵站基地・司令部なども攻撃を受けるからだ。

最新の兵器で自動化が進んでも最終的には人間が操作する。このため最新の兵器購入と待遇改善を行うならば軍縮規模にしなければならない。3000年の戦争史が導き出した答えは「技術の問題は技術で解決する、運用の問題は運用で解決する」。この経験則をAIドローン部隊と迎撃部隊として自衛隊に採用することを望む。

(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)

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